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澄斗は本橋さんに即答する。
「本橋さん、その話なら昨日断ったよね。それに朝誘いに来るのやめてくんない? 俺さ、そういうの苦手なんだ」
「ハッキリ言うんだね。そこもまた素敵」
「……っ」
流石の澄斗も調子狂ってる。
女子の気持ちを無視した断り方だけど、何故かあたしはホッとしている。
笑いを堪えながらエレベーターの天井を見上げた。そこには防犯カメラとミラー。
あたしと澄斗と……。
えっ……!?
ミラーには二人しか映ってない……!?
何度も瞬きをし、目を凝らしてミラーを見る。
本橋さんは少し斜め前に立っている。角度的に映らない位置なのかな?
「流音、なに見てんだよ」
「いや……別に」
視線を戻し、本橋さんと目が合う。慌てて目を逸らした。
息が詰まりそうで、エレベーターが開いたと同時に飛び出し、そのまま猛ダッシュする。
「変な奴」
背後から澄斗の声が聞こえたが、振り返ることなく学校まで走った。
学校に到着し、ダダダッと四階に駆け上がる。
『騒々しいな。君は女性らしく静かに歩けないのか』
「唐沢先輩! ハァーハァー、ヒィーヒィー、ガルゥー……」
全速力で走り、呼吸が苦しくなる。
『君は俺を呪い殺す気か』
「ち、違います。ミラーに映らないんだってば!」
『当たり前だ。俺は幽霊だからな。鏡には映らない。ハカセも同様だ』
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