【7】地縛霊と自爆霊

流音side

58

 マンションのエレベーターに乗り込み、本橋さんは四階で何故か降りた。五階で降りたあたしは、学校でビクビクしていた澄斗をからかう。


「ヘタレ、ヘタレ」


「お前は小学生のガキか」


「鼻の下伸ばした男に言われたくないね。ていうか、本橋さんをお持ち帰りするのかと思った」


「あほ、俺は両親と住んでるんだよ。どうすればそんな発想になるんだよ」


「野獣のすることはわかんないからね」


「本橋は四階に引っ越してきたみたいだよ」


「えっ!? このマンションに引っ越して来たの?」


「みたいだな。じゃーな」


 本橋さんが同じマンションと聞き、何故か面白くない。


「ママ、ただいま」


「お帰りなさい」


 帰宅するとすぐにオヤツタイム。冷蔵庫からエクレアを取り出す。


「ママ四階に新しい人入った?」


「四階? 誰か引っ越して来たの?」


「同じクラスの女子が入居したみたいだよ」


「そうなの? 聞いてないけど」


 情報通のママが知らないなんて珍しいな。


 そんなことを考えながら、エクレアを頬張っていると、チャイムが鳴った。


「流音出てくれない?」


「えー……。今オヤツ食べてるのに」


「しょうがないわね」


 ママは文句を言いながら玄関に向かう。玄関から本橋さんの声がした。


「四階に越してきた本橋です。両親は仕事が忙しくて挨拶に来れなくて、あたしが代わりに来ました。これつまらないものですが、宜しければどうぞ召し上がって下さい」


「まぁしっかりしたお嬢さんだこと。流音と同じクラスなんでしょう。御上がりなさい」


 え!?

 ママ、今、何て言った!?

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