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『もし流音の話が本当なら、この学校に俺以外のヴァンパイアが存在していることになる』
「嘘っ!? この学校に?」
『あくまでも仮説だけどね。この学校に俺以外のヴァンパイアがいるとは思えないしな』
「……ですよね。ヴァンパイアなんて一人で十分ですよね」
チャイムが鳴り、あたしは慌てて階段を駆け降り教室に向かう。
教室に入ると、担任の柿園先生と女子生徒が立っていた。
身を屈め、コソコソと教室に入り着席する。女子生徒の髪型は、今朝見た女子とよく似ていたが、顔色は血色もよく愛らしい顔立ち、男子がざわつくくらいの美少女だ。
「
「可愛いー!」
「俺、タイプ」
教室のあちらこちらで、男子の歓声がした。
転校生だというだけでみんなは鼻の下を伸ばし、チヤホヤしてみっともない。
隣席に座っている澄斗の顔を見ると、澄斗も満更でもない様子だ。
「席は空野君の隣ね」
「はい」
「空野いーなぁ」
クラスの男子から溜め息が漏れる。本橋さんはにこにこ笑いながら、澄斗の右隣に着席した。
「宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しく」
「空野君は部活何してるの?」
「俺? 美術部だけど」
「美術部? あたしも美術部に入部しようかな」
――は?
「空野君ともっと仲良くなりたいから」
――は??
初対面で、いきなり?
随分積極的な女子だな。
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