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『もし流音の話が本当なら、この学校に俺以外のヴァンパイアが存在していることになる』


「嘘っ!? この学校に?」


『あくまでも仮説だけどね。この学校に俺以外のヴァンパイアがいるとは思えないしな』


「……ですよね。ヴァンパイアなんて一人で十分ですよね」


 チャイムが鳴り、あたしは慌てて階段を駆け降り教室に向かう。


 教室に入ると、担任の柿園先生と女子生徒が立っていた。


 身を屈め、コソコソと教室に入り着席する。女子生徒の髪型は、今朝見た女子とよく似ていたが、顔色は血色もよく愛らしい顔立ち、男子がざわつくくらいの美少女だ。


本橋もとはしつみれです。父の仕事の関係で外国を転々としています。日本にもあまり長くいられないと思いますが、日本での生活を存分に楽しみたいと思います。宜しくお願いします」


「可愛いー!」


「俺、タイプ」


 教室のあちらこちらで、男子の歓声がした。


 転校生だというだけでみんなは鼻の下を伸ばし、チヤホヤしてみっともない。


 隣席に座っている澄斗の顔を見ると、澄斗も満更でもない様子だ。


「席は空野君の隣ね」


「はい」


「空野いーなぁ」


 クラスの男子から溜め息が漏れる。本橋さんはにこにこ笑いながら、澄斗の右隣に着席した。


「宜しくお願いします」


「こちらこそ宜しく」


「空野君は部活何してるの?」


「俺? 美術部だけど」


「美術部? あたしも美術部に入部しようかな」


 ――は?


「空野君ともっと仲良くなりたいから」


 ――は??


 初対面で、いきなり?

 随分積極的な女子だな。

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