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『朝から騒々しいな。もう少し静かに出来ないのか』


「唐沢先輩、なに呑気にしてるの? 廊下に変死体だよ! よく平気でいられるね!」


『変死体? そんなものはないよ』


「唐沢先輩は美術室に引きこもってるからわかんないんだよ!」


『引きこもりで悪かったな』


「早く! 早く! あたしと来て!」


 あたしは唐沢先輩を急かし、美術室のドアを開けた。唐沢先輩は美術室から出ることは出来ず、ドアから外を見る。


 あたしは怖くて、唐沢先輩の後ろで震えている。


『誰もいないよ』


「へっ? いない? そんなはずないよ。日本人形みたいな女子。絡繰り人形みたいに首がクルッて百八十度回ったんだから」


『馬鹿馬鹿しい。ホラー映画の見すぎだ。昨夜、ホラーのDVD観て寝たんだろう』


 確かに、寝る前にホラー観たけど……。


「彼女の首に二つの噛まれた痕があったんだ」


『噛まれた痕?』


「獣の牙のあとみたいだった」


 唐沢先輩が腕を組み、首を傾げた。


『ハカセ、ハカセはいるか?』


 唐沢先輩がハカセを呼ぶが、ハカセは姿を現さなかった。


「やっぱりハカセが生徒を襲ったのかな? 化学室の実験を見られたから?」


『ハカセは生徒を襲ったりしないよ。もしも襲っていたら、この学校は今頃ヴァンパイアだらけになってる。だけど、本当に牙のあとがあったなら……、ハカセに問い質す必要はありそうだ』


「あの子は……死んでないの?」


『ヴァンパイアに吸血された人間は、ヴァンパイアとして甦る』


「ヴァンパイア? あの子が!?」


『君のいうことが本当ならばだ。君の勘違い、目の錯覚ということもある』

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