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『なんだその目は? お前も吸血鬼になりたいのか? お前なら吸血してやってもいいぜ』
「馬鹿馬鹿しい」
「馬鹿馬鹿しくないよ。この学校の怪談話しは、実在するんだから」
ハカセとのやり取りに千秋が口を挟む。千秋の携帯電話が鳴り、ブレザーのポケットから取り出した。
「あっ、メールだ。
「あたし、コンクール用の絵画を描くから。カラオケはやめとく」
「春の絵画コンクール? 流音は絵が趣味だもんね。美術室で何か異変があったらメールしてね。幽霊が出たら動画とか撮っといて」
「何もあるわけないよ。馬鹿馬鹿しい」
本当は異変だらけだ。
だって、あたしの後ろでハカセが変顔してるんだから。
「じゃーね。流音バイバイ」
『バイバーイ』
あたしより先に、ハカセが千秋や小春に手を振った。
二人があんなに見たかったヴァンパイアが目の前に立っているのに、二人には本当に見えていないようだ。
二人と別れ、あたしはバタバタと廊下を走る。唐沢先輩との約束の時間はとっくに過ぎている。
唐沢先輩、まだ待っていてくれるかな。
もう帰ったかな。
まって、唐沢先輩は幽霊なんだから。帰るところなんてなかったんだ。
唐沢先輩は美術室の美男子幽霊。
認めたくないけど……。
どうやら、唐沢先輩は本物の幽霊らしい。
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