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「風見さんって面白いね。それに可愛い」
優等生のイケメン眼鏡男子に、『可愛い』と言われ思わず舞い上がる。
「やだ、可愛いだなんて。伊住君ったらぁ」
思わずデレッとするあたしに、澄斗が憎まれ口を叩く。
「あほ、それは社交辞令みたいなもんだろ」
「……っ、澄斗は可愛くないな」
「お前がガラにもなく、舞い上がってるから、真実を教えてやったんだよ」
「酷い、サイテー」
澄斗と口喧嘩していると、伊住君が優しい眼差しを向ける。
「空野、僕は風見さんが本当に可愛いと思ったから口にしたまで。僕は記事も言葉も嘘は吐かない」
優等生らしい言葉に、黒谷君がフンと鼻を鳴らした。
感じ悪い。一番嫌いなタイプ。どうして伊住君も澄斗も黒谷君と一緒にいるのか、わかんないよ。
「黒谷君、何笑ってんの?」
「笑ってねぇよ」
「あたしを見て笑ってんじゃん」
「くだらねぇ。自意識過剰の女子は嫌いだ」
黒谷君はコーラをごくごくと飲み干す。ヤンキーのくせにフードから覗く青白い肌。
腕も澄斗より細い。
まるで……死神みたい。
美術室の美男子幽霊よりも、化学室のヴァンパイアよりも、よっぽど不気味。
ふと、ホラー映画に登場する薄気味悪い死神を思い浮かべる。
斧を持っていたら完璧だ。
脳内のキャンパスで黒谷君をモデルに死神を描き、ささやかな仕返しをする。
「新聞部が掲載する写真は、すべて黒谷が撮ったものなんだ」
えっ? マジで?
成る程、やっと二人の接点が見えてきた。
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