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 ◇


 午前中の授業を終え、昼休憩になる。


 あたしは千秋や小春と一緒にお弁当を広げ、澄斗は伊住順いずみじゅん黒谷匠くろたにたくみと一緒に隣で弁当を食べている。


 伊住君は知的で秀才、イケメン眼鏡男子。部活は新聞部だ。


 黒谷君は危険なイメージ。長髪、黒髪、鋭い眼差し。制服の下にはパーカー。常に顔は半分隠れてる。


 写真部だがずっと暗室に隠り現像しているとか。


 外見は不気味だが、最近まで手がつけれないくらい最強のヤンキーだったという噂もある。


 澄斗は普段は俺様、でも弱点は幽霊。


 アンバランスな三人に共通点はない。何故友達なのか、未だに謎だ。


「ねぇ、知ってる? B組の柴田真波しばたまなみ、放課後化学室で見たんだって。超ビビってたよ」


 サンドイッチを食べながら、千秋が捲し立てた。


「真波が何を見たの?」


「化学室に棲みつくヴァンパイアだよ。実験を目撃したら、全身の血を抜かれるって噂だから。もう吸血されてるかも」


「ブッ……」


 ヴァンパイアと聞き、思わず吹き出した。変装したハカセを思い出したから。


「やだ、流音何やってんのよ」


「千秋がヴァンパイアなんていうからだよ」


「後ろ姿だけど、黒いマントを着けていたんだって。ツンツンの髪してたって。フラスコで赤い液体がコポコポしてたみたいだよ。血かな?」


「キモーイ」


 小春が隣席の男子を意識し、可愛い悲鳴を上げる。


 その声の方が、よっぽどキモい。

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