★穴埋めの穴埋め
階段を降りてきたタイラが、なぜか渋い顔をして視線を彷徨わせる。それに気づいたカツトシが、「何よ。なんか探してるわけ?」と尋ねた。仲間たちも一斉に振り向く。
その中でタイラは空咳をし、ユメノに向かって手招きした。「あたし?」と言いながらユメノは近づく。
言葉を選びながら、タイラは言った。
「お前の両親から伝言だ」
「は? いつ連絡先交換したん?」
「“色々と考えた結果、結論は出ていないけれどもとりあえずお前を支援したい”とのことだ」
「なっ、えっ、そ……そんな大事なことをタイラ経由で??」
「俺もまったく納得がいかない。直接言えと言ったんだがな」
ぽかんとしたユメノが、不意に口を押さえて「えっ! てことはあたし学校行けるの!?」と目を見開く。そうだよ、とタイラはため息混じりに呟いた。「お前の親ときたらレスが遅すぎてそろそろ腹立つなと思っていたんだ」と言うので、「水面下でそういう交渉するのやめてくんない?」とユメノは悲鳴をあげる。
「願書の受付はいつまでだ?」
「えーっと、とりあえず12月末まで」
「すぐ出してこい」
「ちょっと待って、マジでちょっと待って。あたし、来年でいいかなとか思ってたんだけど……。てか、今申し込んだら試験1月だよ! 無理無理無理! 2ヶ月ないじゃん!」
「無理かどうかやってみなきゃわからないだろ。無理だったら来年また受ければいいんだ、別に回数制限があるわけでもあるまいし」
「えー、でも」
「でも?」
タイラにじっと見つめられ、渋々という風にユメノは「わかった……やってみる……」とうなづいた。よろしい、とタイラが満足そうに言う。
「お前の両親は『面と向かって話すと余計なことを口走ってしまいそうで怖いから、金だけ仕送りしたい』だとか言っていたが、どうする?」
「うーん……とりあえず電話してくる!」
「おう」
階段を駆け上がっていくユメノを見送って、タイラは空咳をひとつした。不意にまた仲間たちを見て、「お前」とノゾムを指さす。
「お前だよ、お前。ちょっとこっちに来い」
「何すか、名前忘れたんすか。ガラが悪いな」
警戒心を浮かべつつ近づいてくるノゾムの肩を、タイラは掴んで強引に引き寄せる。「なあ、お前……」と小声で囁いた。「成人式何着んの?」と。
一瞬『げっ』という顔をしたノゾムが、ちょっと距離を置こうとする。「逃ーげーるーな」とタイラはノゾムの腕をがっつり掴んだ。
「オレだって受験生すよ。そんなことしてる暇ないっつうか」
「前にこの話をしたのは夏ごろだったよなぁ? 今まで何をしていたんだ」
「なかなか袴とかはハードル高くて……」
「“こっちで袴とか手配しようか?”という父親の提案を、“自分で用意するからいいよ”と断ったらしいじゃないか」
「マジで何であんたらそんな連絡とり合ってるんすか???」
頭痛を抑えるような仕草でため息をついたノゾムが、「大体あんたに関係ないでしょ」と呟く。「関係はない」とタイラは肩をすくめた。「関係はない、が……」と口ごもる。それから仕方なさそうに、「これは言わないように口止めされていたんだが」と目を閉じた。
「お前の親父、また海外出張の話が出てるだろ」
「あー、ヘルニアが治ったんでまた行くよと言っていた気はしますけど」
「それな、本当は年始から飛ぶ予定だったのを1月中旬まで伸ばしてんだよ。お前の晴れ姿を見るまではと、会社に無理を言っているらしい」
ノゾムはぽかんとした後で、「えっ」と言ってしまう。盛大にため息を落としたタイラが、「わかるか? お前の親父がどれだけお前の成人式を楽しみにしているか」と語る。
「そしてわかるか? それを聞かされる俺の気持ちが。正直に言うぞ……そろそろ重い。お前が何も準備なんかしていないだろうことを知っている身としては尚更だ」
全ての言葉を飲み込んだノゾムが、『ぐ、ぐうの音も出ねえ~~~』という顔で固まった。ふと思案顔をして「お前の親父といいユメノの親といい、どうして俺に言ってくるんだ?」と呟く。
「あ、あんたがほいほい連絡先を教えるからでしょ」
「それは契機であって理由ではないだろ。俺はそんなに与しやすそうに見えるのか?」
「うーん……まあ……何だかんだ話を聞くのは上手いからなぁ、先輩。でもそんなパンピーに連絡先教えてて大丈夫かなって思いますけど。ユメノちゃんとかの両親から誘拐とかで訴えられたら一発でアウトじゃないすか?」
「……今まで色々やってきたが、よりにもよってそこから足がつくとは愉快だな」
「何も面白くないんですよね」
とにかく、とタイラは言う。「そういうことだ。今日は袴を見に行くぞ」と頭をかいた。
ちょうど軽やかに階段を下りてきたユメノが、「なになに? ノゾムの袴? あたし、着付けてあげよっか!」と笑う。
「お前、親と連絡とれたのか」
「うん! とりあえずお礼言って、『今度また家に行くね』つって切ってきた」
「強いなお前は」
でへへ、と笑ったユメノが伸びをする。「あたしも振袖見たいなぁー」と呟いた。
「じゃあ、行ってくるから」とタイラが勝手に言ってノゾムを引きずって行く。ユメノもそれについていった。
残された都とカツトシは、「元気ね、みんな」「ハカマとかフリソデとか、キモノのことでしょ? 僕も着てみたい」と和やかに言い合う。「ミユも、ユメノちゃんといっしょのやつ、きたい」という声に都はにっこり笑って、「お姉さんになったら着られるわよ」と答えた。
☮☮☮
街の中心地にある呉服屋にて、タイラは店主と話をしている。知り合いなのかと興味深くそれを見た後で、『この街で平和一と知り合いじゃない方が珍しい』と思い直してノゾムは目を離した。どうせ着ることになるのなら、と真剣に袴を選び始める。道中でせめてもの抵抗をと「オレ、金持ってないですよ」と言ったところ「元より期待してないよ」と返答があった。それはそれで心外である。父に請求するのだろうか。
この時期に慌てて袴や振袖を探す新成人はなかなか珍しいらしく、店主は「もうお手頃なイイ着物はハケちゃったんだよねえ」と言っていた。確かに、ちょっと手の届かない上物か、宴会芸かと思うような派手なものしか見当たらない。
その中で比較的控えめな袴を手に取った。紺碧の少しくぐもったような色の袴だ。やっぱり少し高いなと思い、戻そうとする。
「着てみるかい」
いつのまにか近くに立っていた店主に言われ、心臓が飛び出しそうになった。「まあまあ、試着はタダだから」と押し切られて上着を脱がされる。「お嬢ちゃん、手伝ってくれる―?」と声をかけられたユメノまで駆け寄ってきた。
2人がかりで着付けられ、やっとの思いで息をする。「どう?」と鏡を見せられても「苦しいです」としか言えない。
「これ、髪とかいじったらもっと様になるんですかね」
「何言ってんだいお兄ちゃん。髪なんかいじらなくていいんだよ、十分いい男だよ。髪にワックスなんかつけて逆立てたりするから着物が偽物みたいに安っぽく見えんの。お兄ちゃんは綺麗な黒髪だから、そのまんまで着物がよく映えるよ」
「はあ……」
うんうんと頷いてユメノも「悪くないと思うぞ」と言った。一応タイラの方を伺うと、「いいんじゃないか」と想定内すぎる言葉を吐く。でも高いんだよなぁ、と顔をしかめれば、見かねたようにタイラが「お前の親父さんがそれを出し渋ると思うのか?」と言った。まあ、それもそうなのだが。
「お嬢ちゃんも振袖着てみるかい」
「いいの? あたし、まだ18だよ?」
「今買ったり借りたりしなくてもいいんだよ、必要になった時うちの店を思い出してくれれば」
目を輝かせたユメノが振り向いて、「いい?」とタイラに聞いた。タイラは頷いて、「着たら見せろよ」と笑う。
はしゃいで振袖を探しに行くユメノを見ながら、ノゾムはぼんやり瞬きをした。
「先輩」
「何だよ」
「大人になったんすかねぇ、オレ」
「わからんが、少なくとも一人で着るもんも選べねえやつは大人とは呼ばないんじゃないか?」
ムッとして、ノゾムはタイラを見る。「じゃあ、人はいつから大人なんですか。先輩はいつ大人になったんですか」と尋ねれば、タイラは喉を鳴らしながら「ムキになるな。ガキ臭く見えるぞ」と諭した。
「大人になんて、なった覚えは俺もないよ」
「あんたもうアラフォーでしょ」
「歳の問題じゃねえんだよ、こういうのは。いいか、俺は大人になんかなった覚えはない。でもいつからか、周りから“大人なんだろう”と思われていた。人は人に見られることでようやく形を持つようになる。決して大人になるんじゃない。気づいたら大人にさせられてるんだ」
わかるか? と言われてノゾムは黙る。いいんだよ、とタイラが目を細めた。「大丈夫だ、お前はまだ子どもだよ」と。
薄紅の振袖に袴を合わせたユメノが「見て見て」と駆けてきた。タイラとノゾムの目の前でくるりと回って見せる。「可愛い可愛い」「よっ、我が家のアイドル」とはやし立ててやった。ユメノは満足そうに奥へ引っ込んでいく。
「……オレ、ユメノちゃんって大人だなぁと思ってたんすけど」
「ああ」
「そういうのが、どんどんあの子を大人にしていっちゃうのかな」
「お前は勘が良くて呑み込みが早い。結局のところ、人は他人が用意した型にハマっていくものだ」
「それでも、人を偏見とか決めつけなしで見ていくことって難しいじゃないですか」
「そう思うよ。俺はお前たちを“知っている”けど、時々はお前たちが変化していく生き物だということを忘れる。お前は確かコーラだとかジャンクフードが好きだったなと思って買って帰ると、『いまそういうの控えてるんすよ、言いませんでしたっけ』とか言われる羽目になる」
「それまだ根に持ってんすか? もう1か月も前の話じゃないですか」
タイラは肩をすくめて、「そんなに前だっけ?」と呟いた。「わー、もうオジサンだなぁ」とノゾムは白々しく言う。
試着に満足したのか、振袖を脱いでユメノが戻ってきた。すっかり店主と仲良くなったらしく、「20歳の時にはこっち戻ってくるから、あの振袖キープしといてね」「ユメちゃんのためならいつまででも待ってるよ」と話をしている。ノゾムとタイラは顔を見合わせて、「さすがだなぁユメノちゃんは」「まあ大人かどうかは別として、強いよな」と言い合った。
「ノゾムの袴は……このまま着て帰っていいか?」
「別にいいよ。旦那は着物買っていかないのかい」
「俺が和装に興味を示したことがあったか」
「つまんねー男だよねえ。浴衣を3着持ってると暮らしが劇的に変わんだよ」
「寒いからいらない」
「じゃあ袴」
「窮屈だからいらない」
「窮屈なもんかい。次こそは試着しな、絶対気に入るから」
次な、と言ってタイラは外に出る。ノゾムとユメノも後に続いた。
“せっかくだから歩いてるとこの写真撮ろうよ”と言い出したユメノのおかげで、ノゾムはその時だけ猫背を矯正しなければならなくなった。スニーカーに袴で格好がつくはずもないのに、笑いながらタイラが写真を撮っている。時々ユメノもピースをして写りこんでいた。
☮☮☮
住処である酒場の前でノゾムは、『やっぱり店で脱いで来ればよかったなぁ』と袴の皴を伸ばす。正直この姿で入っていくのは気恥ずかしいものがあった。「何突っ立ってんだよ」と背中を押されて仕方なく入っていく。
「あら、馬子にも衣裳じゃなーい」とカツトシが。
「素敵ね」と都が。そして「きれい!」と実結が。学校から帰って来ていたらしいユウキも、「なんか高そうでかっこいいですね」と冷静にコメントした。
それから、奥で紅茶をたしなんでいた美雨が「あらキモノ? 悪くありませんわね、どうなさったのです」と当たり前のように言う。
一瞬の沈黙の末に、「どうしてお前がここにいるんだ」とタイラが尋ねた。ほとんどテンプレートのようなものだ。「アフタヌーンティーですわ」と美雨は優雅にティーカップを掲げる。
「そんなことより、どうしてそこの青年だけがキモノをお召しになっているのです。そのキモノはどちらで手に入れました? 私もその店に行ってみたいのですが」
「……成人の儀だ」
ああ、と美雨は納得したような顔で手を叩いた。「あなた、まだ18歳でしたの」と言うので、「いや20歳っす」と答える。美雨は再度納得したようすで「いいですわね、この国は。成人の儀はそのような装いで行うのですか、さぞ華やかな催しなんでしょうね」と頷いた。
「ふふ、しかし章もこの国で過ごせば成人の儀はそのようなキモノを……。俄然楽しみになってまいりましたわ。やっぱり店を紹介して頂戴」
「構わないが、まだ5年も先だぞ」
「7年よりは短いですわね、あっという間でしてよ」
で、とタイラは眉をひそめる。
「本当に今日は何の用なんだ」
「お紅茶をいただきに来ただけなのですが~~~??」
「お紅茶をいただきにどれだけのリスクを負ってここまで来てんだよ」
すん、と無表情になった美雨がティーカップを置いた。「あなたに頼みたいことがないと言ったら嘘になります」と口を開く。やっぱりな、という顔でタイラはため息をついた。
「ただ、あなたたちにとっても悪い話ではない」
「俺たちだと?」
「ここに、山間秘境温泉宿の宿泊券があります」
「このくだり、前にもやらなかったか」
何のことやら、と美雨は首を捻る。「何でもない、人違いだった」とタイラは頭をかいた。
「これをあなたたちに差し上げます。私もあなたたちには何か埋め合わせをと考えていましたからね、この冬はゆっくり温泉でも浸かるのがいいでしょう。私たちと一緒に」
「お前たち? お前と章と……一緒にか……?」
ふふふ、と美雨は照れくさそうに笑う。「ふふふ、じゃねえよ」とタイラが静かにキレた。
「どうせ……どうせお前は、仕事から離れて息子と遠出したかっただけだろ」
「まあ、そうなのですけど。あの狸、もとい若松裕司にどこか旅行にでもと涙ながらに訴えたところ、条件付きで許可が下りましたので」
「条件?」
「“ボディガードを一人連れていけ”と」
「俺のことを……言っているのか……? さすがに虫が良すぎるんだが……」
なぜだか美雨は胸を張って、「虫が良すぎる? 話が良すぎるの間違いでしょう」と言い放つ。それを呆れた顔で見て、「あのおっさんも何を考えているんだか」とこめかみの辺りを押さえた。
「俺とお前は敵対してるんじゃなかったか?」
「ちゃんと今日も変装してきましたでしょう。あなたが金髪はやめろと言うからヤマトナデシコを意識してきましたのよ」
美雨サマ可愛いよ! とユメノが茶々を入れる。ありがとう、と美雨は微笑んだ。「お前ホント隠す気ある?」とタイラは半目でそれを見る。
「じゃあ、行きませんの」
「あのなぁ……うちは受験生が2人もいて、それどころじゃないんだっつうの」
「受験生? あら、それはリサーチ不足でしたわ。勉学に励む若人が2人も?」
むうっと頬を膨らませたユメノがタイラに背中から抱き着いて、「行こうよ!」と訴えた。
「ユメノ、お前……」
「勉強ならちゃんとするって。頑張るから、行こうよ」
「そうは言ってもな」
「だって、」
ユメノはぎゅっと腕に力を込めて、「だってこのチャンスを逃したら、しばらくみんな揃ってどっか行ったりはできないかもしれないんだよ」と言う。
「あたしはわかんないけど、きっとノゾムは大学受かって、来年からは大学生で……忙しくて旅行なんかついて来ないかもしれないし」
「ちょっ、オレだって受かるかわかりませんからね」
「ねー、行こうよ! いいじゃん、ショーくんだって閉じこもりっきりなんでしょ? みんなで行こうよ」
タイラが振り向いて、ユメノの両頬をつねった。しかし結局根負けしたのはタイラの方で、「お前たちがそれで後悔しないんならな」とだけ釘をさす。
「まあ、温泉はな……悪くないよな……」
「そうでしょう、そうでしょう。たまにはいいものですわよ、人生の休暇というのも」
「ところでこの人数が乗る車は手配できるのか?」
「そこのところはご心配なく。旅館の方が送迎のバスを用意してくださるそうです、最寄りの駅まで」
凍り付いた表情で、「お前、電車で行くつもりなのか」とタイラは呟く。「そうですわよ。楽しみですわ、わたくし電車に乗るのもはじめて」と美雨は嬉しそうにした。
一度“タイム”とジェスチャーだけで伝え、タイラは携帯電話を片手に螺旋階段の裏へ引っ込む。「あんた、あの女のお守りを俺に押し付ける気か?」と声が聞こえたので、若松裕司に電話をしたのだろう。
しばらくして帰ってきたタイラが、「あのおっさんもだいぶ極まってきたな。休みを取らせてやったらどうだ?」と珍しく心配そうな顔をした。どうやら若松裕司を責めても仕方ないと諦めたようだった。
「あの人、仕事がお好きなんでしょう」
「必ずしもそうではない。大抵の人間は金を稼ぐことは好きだが、仕事はあまり好きではないよ」
美雨は小さく肩をすくめて、「検討いたします」と言う。
「それで、とりあえず1泊2日程度のお時間は作っていただけるんでしょうね」
「もうすぐユウキの冬休みだ。それまで待ってもらえるんならな」
「それは構いませんわ。元より、年末にと思っていましたので。それから、」
「それから?」
「もうひとつお願いがあるのですけど……」
「これ以上にか。お前は俺を何だと思っているんだ」
珍しく恥じらいなど浮かべた美雨が、少し言葉を詰まらせた。
「その……モトハシイブという方をお誘いいただきたいのです」
「ことわ、……ん。そうか、まあ……悪くないな」
明るい顔をしたユメノが「本橋ちゃんも行くの?」と顔を出す。「あのお巡りさんにはだいぶお世話になりましたもんね……結構リスペクトみが高い」とノゾムも頷いた。「お前の辞書に“リスペクト”という言葉が載っていたとはな」とタイラが軽口を叩く。
「では、お話はまとまったということで?」
「ちょっと待て」
ここにきてタイラは初めて仲間たちを振り返り、「それでいいか?」と確認した。「温泉! 僕、温泉いきたーい」とカツトシが両手を上げる。わかっているのかいないのか、実結も「いきたい!」とはしゃぎ、都が「とっても素敵だと思う」と頷いた。ユメノはもちろんのこと、ノゾムも肯定する。
「いいと思うっすよ。てか正直、温泉はだいぶ魅力的でしょ」
「若いくせにそう思うのか。まあ否定できないな。人生の休暇、か……」
腕を組んで遠くを見ながら、タイラは「休めるかどうかは微妙なところだが」と呟く。その声色がかなり切実に聞こえたので、思わずノゾムが噴き出した。
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