第4話

「俺たち一緒に海を見たことあるんだ」


え?私と柊君が…ダメだ。全然覚えてない


「俺と結衣が初めて会ったのもこの海なんだ」


私海なんて見たことないって思ってた。


なのに…なんで私忘れてるの?


「前の所で何があったか知らないけど俺が守るから、絶対悲しい思いはさせないから」


真っ直ぐ柊君に見つめられてこの人の想いは

嘘じゃないって分かるし覚えてないのになんか懐かしいあったかい気持ちになる。


「柊君ありがとう」


この人と居ると素直な気持ちになれる。


「慶吾でいいよ、俺も結衣って呼んでるし」


慶吾君…本当に優しい人


「暗くなってきたし帰ろっか」


あ、本当だ…空を見上げると夕日が見えていた。


「結衣後ろに乗って」


私はおもいっきり顔を横に振った。


さっきは坂道だったからよかったけど今度は登りだから慶吾君が疲れてしまう。


私は慶吾君の裾を掴んで呼び止めた。


「あ、あの私歩いて帰りたい…です」


「そっか、俺ももっと結衣と話したいって思ってた…でも結衣疲れちゃうけど大丈夫?」


「大丈夫です。慶吾君が疲れるのは嫌だから」


慶吾君はクスッと笑って…


「やっぱ結衣は優しいね。俺のこと思って歩きたいって言ってくれたんだよね」


優しいのは私じゃなくて慶吾君だよ…そう言いたいのに言葉がでない。

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