第3話
「結衣一緒に来て」
そう言って柊君は私の手を握って引っ張った。
「ちょっ私まだ片付けが」
柊君は私の話を聞かず階段を駆け下りた。
「結衣後ろに乗って」
柊君は自転車に乗って後ろを指差した。
2人乗りなんてしたことないからなんか恥ずかしい。
「早く」
私は柊君に急かされて後ろに乗った。
「結衣しっかり掴まってって」
そう言った途端柊君は自転車を漕ぎだし坂道を下りだした。
結構なスピードで怖くなり目を瞑り私は柊君の腰に手を回した。
「結衣着いたよ」
私はゆっくり目を開けるとそこには海が広がっていた。
「きれい…」
「結衣と一緒にこの海を見たかったんだ」
私と?なんでこんな私と海を見たいなんて思ったんだろう
でも本当にきれい…
前住んでた所はいつも一人で友達もいなかった。
好きだった人も私を裏切って…
「結衣?大丈夫?」
え?
「結衣泣いてる」
柊君は私の頰に流れる涙を指で触った。
私いつのまに泣いて…それより恥ずかしいのは柊君に触られたことだ。
「大丈夫です」
私は慌てて下を向いた。
「俺結衣には笑顔で居てほしいんだ」
「結衣の笑顔が大好きだから」
私の頰がカーッと赤くなるのが分かった。
なんでこの人はこんな素直に想いを伝えてくれるんだろう?
こんな私にそんなことを言ってくれる人なんていなかった。
親でさえ私のことをうっとしいと思っておばあちゃんに私のことを預けたのに。
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