第7話 幼い頃の約束
「……話せないわけじやないよ。
えっと……。僕元々ここに住んでたって言ったでしょ?」
春哉は飲み物をひと口飲むと話し始めた。
「ああ、小3の時に東京行ったんだよな」
「うん、引っ越す前まで仲良しだった幼馴染がいたんだ……。
幼稚園の時に、け…結婚しよって約束したの」
「お…小さいのにすっごい約束したな」
「……でしょ? でも僕引越しすることになっちゃったから、また約束したんだ」
「何の?」
「また迎えに来るって……」
「じゃあ……それが野海なのか」
「うん……え! なんでわかったの? 僕言ったけ?」
なんと秋翔は春哉の幼馴染を当ててたのであった。
「いや、お前見てたらわかるだろ。
毎日毎日、野海に挨拶しては無視され落ち込んでの繰り返しだ。それでさっきの話し聞けばな」
「そっか。うん……僕はふうちゃんを迎えに来たんだ。
だけど……ふうちゃんは僕のこと覚えてないって……」
「……ほんとに覚えてないのか?」
「え、どういうこと?」
「いや、俺……。俺の彼女がさ、それ俺の隣のやつな」
「それって雪吹さん?」
「そう、冬空が前に野海から幼馴染の話し聞いたことがあってさ」
「え! ほんとに?」
春哉は驚き思わず立ち上がった。
「まあ、座れよ。けど、それが春哉のことか分からねぇ」
「そっか……」
「あのさ……今まで毎日話しかけて無視されてたから。今度は逆に話しかけないようにしてみれば?」
「……話しかけない?」
春哉は意味がわからず首を傾げた。
「そう! よく言うだろ? 押してダメなら引いてみろって!」
「……なるほど! じゃあ明日からやってみる!」
「おう! 頑張れ!」
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