第5話 お昼
──そんな返事のないやり取りを一週間続けた。
「(もう、今日で一週間だ。嫌われちゃったのかな?)」
そして、今日学校に登校すなり声をかけたが──挨拶の返事はなかった。
「はーるや! 今日のお昼違う所で食べようぜ!」
朝のHR前、頭をかかえた春哉に秋翔は声をかけた。
「違う所?」
「……まあ、行ってからのお楽しみな!」
秋翔はどこで食べるか濁し前を向いてしまった。
いつもは購買で買ったものを教室で食べるか学食に行ってお昼を食べている。
本来なら頭の中は返事の貰えなかった楓夏でいっぱいのはずだが……今日は違う。
どこでお昼を食べるのか楽しみでいっぱいだった。
──そしてお待ちかねのお昼。
「購買寄ってから行こうぜ」
「どこで食べるの?」
「……だから、まだ秘密」
秋翔は人差し指を立て唇に当てた。
「ケチー教えてくれてもいいじゃん」
「まあ、楽しみがあった方がいいだろ?」
そんな秋翔の顔は満面の笑みだった。
「春哉なに食べる?」
「うーん。メロンパンとカレーパン」
「了解! おばちゃん! メロンパン一つ、カレーパン二つ、あんぱん一つちょうだい」
購買には、パンも売っており秋翔はおばちゃんに注文をした。
「はいよ! 416円だよ」
「はい!」
「ちょうどだね」
パンを受取った秋翔は春哉の手を引いた。
「え、どこ行くの? 待ってお金!」
「今日は俺の奢り。あ、目つぶってろよ」
「え?」
「行くぞ!」
購買から渡り廊下に出るとそう命じられた。
階段や曲がる時などは必ず声をかけてくれた。
「よし! 着いた! まだだぞ」
着いたのか、秋翔は一旦足を止めた。
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