第3話 拒絶
「は…る……あ、じゃあ学校案内するね」
「うん? よろしくお願いします!」
「(最初になにか言った気がしたけど何だったんだろ?)」
春哉は聞き取れなかった言葉が気になったがそれを聞くことは無かった。
荷物は机に置いたまま、二人は一階へ降りた。
春哉たち二年生は三階が教室だ。
「えっと……。ここが保健室でこっちが三年生の教室」
「三年生は一階なんだね」
「うん。一年生が四階だよ」
「ありがとう! あ、そういえばまだ名前聞いてなかったね。さっき自己紹介した桜井春哉です。よろしくね」
三年生の誰もいない教室の廊下で自己紹介を始めた春哉。
「……わ、私は
「のうみ…ふうか。……あ、やっぱりふぅちゃん? ふうちゃんだよね?」
「……えっと。ご…ごめんなさい、どこかで会いました?」
「僕だよ僕! 春くん!よかったー会えて!」
「……ちょっと、やめて!」
久々に会えた喜びからか春哉は楓夏を抱きしめた。
楓夏から歓迎されると思っていた春哉は綺麗に平手打ちをされたのだった。
「…いたっ。あ、ふうちゃん……」
──そして逃げられた。
「(追いかけなきゃ……あ、いた!)」
すぐに追いかけると遠くから楓夏が三年二組の教室に入るのが見えた。
ガラッ
「……ふうちゃん。ごめんね」
教室に入ると窓際に楓夏がいた。
「来ないで!」
楓夏は震えながらこれ以上下がれない壁に背中を押し付けた。
「ごめん……。僕のこと覚えてない?」
その問いかけに対し楓夏は俯いていた顔を上げ、春哉の顔を見つめた。
「……お、覚えてない。……ごめんね」
楓夏は頭を横に振った。
「そっか……。怖い思いさせてごめんね」
春哉は重い足取りで教室を後にした。
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