自分の、譲れないカクを決める

 キャラと物語に信念やらテーマやらをもたせるのが好きです。

 どういうことかということ、こういうこと↓


【キャラについて】

 フェンとアッシュならば、「国を守らなければならない(ゆえに、個人の幸せは二の次になってしまう)」

(ちなみに、こういう風に矛盾した信念をもたせるのが特に好きです)

(二人に同じ信念を設定したのは、わざとです。『カク語りき』では少し触れましたが…その意図は、いずれ語ります)


 ゲイリーならば「金が大事」


 アンジェラなら…オルフェなら…というところは、最新話まで追っていただけると分かるのですが(苦笑


 重要な選択の場面のみならず、普段の行動の部分でも、なるべくこの信念が滲み出るようにしています。

 アッシュの口が悪くとも、いざという時に他者を守る行動に出てしまうところなんかは、まさに意図したところでした。


 ただ、実際に連載を開始した当初、信念が明確に決まっていたのはフェンとアッシュ、それに事件の黒幕くらいのものでした。

 残りのキャラは、物語を動かしていく内に、少しずつ信念が見えてきた、という感じです。


【物語について】

 これは分かりやすくてベタなテーマですが、「敵国同士、しかも現在も貧富の差がある国同士の和解」を描いてみたかった、というのがあります。

 現実社会で問題になっているテーマを扱うのが好きなんですよね…そうすることで、架空の物語に、少しでも現実感を足せればなぁ、とも思いつつ。




【自分の中の譲れない核、ってどういうこと?】

 小説というのは私にとって、自分の青臭い主張を述べることの出来る唯一の場、であるように思います。

 だからなのか、主要キャラと物語に「描きたい信念」「描きたいテーマ」が設定できないと、物語が書けないタイプです。

 そしてだからこそ、恋愛物語なのに何か妙なテーマがチラついているぞ…?という物語になった、とも言うのですが…(ぇ


 思うに、ここが私の根本的な「書く原動力」であり、「譲れない核」だと思います。


 そしてこの辺りは結構、作者様によると思います。

 「ラブコメを書きたいから、物語を書く」、だとか。

 「とにかくキャラが可愛いし、かっこいいから、その魅力を伝えたくて物語を書く」、だとか。

 色々あるでしょうし、それで良いのだと思うのです。


 大切なのは、「〇〇したい」と思った、物語の出発となる起点(執筆の原動力になる気持ち)を忘れずに持ち続けること…な気がします。

 そして、その起点、あるいは「自分の中の譲れない核」は、たとえ他の方から批判されたとしても、曲げない方が良い。

 少なくとも最近は、そう感じています(注1)。

 自分の核を批判された時は、「本作は、あなたの好みとあわなかったのね」と、考えるようにしています。


 結局のところ、核がブレると、物語が迷走し始めるのですよね。

 なにより、自分自身のモチベーションが下がります。

 なぜなら、そうやって書かれた物語は、その読者の方が読みたい物語であって、自分の書きたい物語ではないからです(商業作家で生きていきたいなら、四の五の言わず読者の読みたい話を書くべきなのでしょうが…今回は趣味に限った話です)。


 万人に受ける小説というものはありません(注2)。

 Aという読者の方に、そっぽを向かれることがある。

 でも、Bという読者の方が振り向いてくれる時もある。


 ならばまずは、自分の方を向いてくださっている、目の前の方に受ける小説を書きたい…、と常々思っています。

 そして、その中に、必ず自分を含めること。

 最悪、誰も私の話を読まなくなったとしても…せめて私だけは、一番の読者でいてあげられれば、と思います。



注1

 批判を無視しろ、ということではありません。

 私はむしろ、(チキンのくせに)批判が欲しいタイプの人間です。

 文章が読みづらいとか、意図した部分が伝わっていないとか、構成に難があるとか…私が気づけない、私の弱点を率直に教えて頂けるのが批判の良いところなので。

 ただ、じゃあ批判をどこまで受け入れるべきなのか。この問題にぶち当たった時に、今回のエピソードを思い出して頂ければと思います。



注2

 人気の作家さんは、多くの読者の方に支持される物語を書ける、ということで、全ての読者に支持される物語を書いているわけではありません。

 それでも、多くの読者の方の支持を得る、というのはすごいことで…その技術は是非学びたいところなのですが…(苦笑

 本エッセイで言いたいのは、まずは最初の一歩として、目の前の数人あるいは十数人の読者の方から大切にしませんか?ということです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る