【怖】嫁
これは父から聞いた話だ。
父は私が高校生になるまで長距離トラックの運転手をしていた。昼夜関係なく、目的地までひた走る。時々帰ってくる父は、多少の霊感があるらしかった。
いつものように田舎道をトラックで走り抜ける。睡魔が来ないようにと辛いガムまで噛んでアクセルを踏んでいた――その時、少し離れた民家に白いものが見えた。それは白い花嫁衣裳を身にまとった女性だった。
――ああ、嫁入りか。
そう思って父は先を急いだ。
だが、おかしいのだ。その時の時刻は午前三時、まだあたりは暗く、嫁入りにしても時間が早すぎる。そして彼女はたった一人で外に立っていたそうだ。
なにか不思議なものを視たとき、ひとは違和感に気づかないようするらしい。
今となってはその花嫁が何者だったのか確かめる術はない。
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