第4話 女騎士受難編
▲ ▲ ▲
騎士「いやいやいや、とりあえず助けにいかないと。この映像では危害を加えられてなくても、カメラの外じゃなにされてるか……
あー、今度は築地だ。食べ歩きしてる。いいなー」
騎士団長「またカニ食ってる……私でさえ最近食ってないのにタラバにズワイにケガニまでだと!」
騎士「あー、このたけのこ掘りの動画ずっと見てられるわー。このぼっこり掘り出すところ好きだわぁ……刺身にする所もいい……しかし食ってばっかだなこのブタ騎士」
騎士団長「わかるー、これいいなぁ。女騎士さえ写ってなきゃ最高なのに」
騎士「この誘拐犯は一体なにが目的で……?動画の主役にしたいだけなのか?」
騎士団長「なにも調べずに相手を推測しても仕方ない。まずは知ることからだ。さしあたっては……そうだな、この誘拐犯が行こうとしても行けなくて頓挫してしまった場所。
そこに犯人に迫るヒントがあるのではないか? まず私がそこにいって情報を探ろう」
騎士「団長、経費で京都行きたいだけですよね?」
騎士団長「うん」
騎士「だめだぞバカやろう」
△ △ △
女騎士「たとえ虜囚の身を辱められようと、私は自由になることを諦めはしない! 絶対に脱出してみせる!」
山賊「くっくっく、なにを無駄な抵抗を……さぁ、ジェンガに負けた罰として皿洗いをやってもらおうか女騎士よ?」
女騎士「私は! 絶対に! 諦めない!」
山賊「諦めなさい」
△ △ △
女騎士「おのれ……この私をどうするつもりだ!」
薄暗い部屋の中で、鎧の女は叫ぶ。流れるような金髪、色素の薄い肌。平素ならば凛々しさと勇敢に満ち溢れたその表情には、今は恐怖と動揺が浮かぶ。
彼女は今、拘束されていた。自由を奪われ、目の前の男に生殺与奪を握られている。
女騎士「答えろ!」
山賊「くっくっく、元気なお嬢さんだな……これは躾がいがありそうた……」
彼女の自由を奪った男は、黒々とした髭を生やしていた。樽のような体型。目には残虐と嘲笑がある。
女騎士「どのような理不尽に合おうとも、私は屈さない!」
誇り高き女騎士の、孤独な戦いが始まる。
△ △ △
女騎士「く、またも目隠しをするとは! なんだ……潮の匂い? 私を海外に奴隷として売るつもりか山賊め!」
山賊「くっくっく、そんなつまらないことでお前と遊ぶことを止めるとでも?
よぉし目隠ししたままその場で三回回れ……よし木刀を握れ! そのまま真っ直ぐだ! スイカはあっちだぞ!」
女騎士「こ、こっちは見えないんだぞ!?」
山賊「感覚を研ぎ澄ませ! 目に頼るな、足の砂場から伝わる振動と肌から感じる気配でスイカの位置を知るんだ! 剣を極めるならぱそれくらいはできる!」
女騎士「そ、そうか……足から伝わる砂の感触から」
山賊「ウソだよバーカできるわけないだろそんなの」
女騎士「」
▲ ▲ ▲
騎士「お、今度は千葉の海でスイカ割りしてる動画がアップされてます! 千葉の海みたいですね、ハマグリやら刺身やらむしゃむしゃ食ってますよ! やっぱりビール飲んでる! ちくしょう!」
騎士団長「あぁ……なんだこの天国……」
騎士「水着回だから再生数もコメントも鰻登りだ! 良い顔して焼きそば食ってる場合じゃねぇぞこのブタぁ!」
騎士団長「私も広報で水着やろうかなぁ……」
騎士「やめろ。あんたと女騎士じゃいくら性別が同じでも勝負になりませんよ……勝ってるのは無駄にでかい乳だけでしょ」
騎士団長「なんだよそのセリフは……! ぶん殴るぞ……!」
騎士「とにかく、撮影された時間はつい最近ですよ……これなら今すぐ千葉の漁師町に行けば身柄を確保できるかもしれない、行きましょう!」
騎士団長「えぇ……千葉いくの……?」
騎士「なんでイヤそうなんですか」
騎士団長「千葉ってほら、クソ田舎じゃん」
騎士「千葉は田舎じゃねぇよバカ!」
▲ ▲ ▲
騎士「と、急いで車で来てみたがやはり空振りか……仕方ない、せめて誘拐犯の情報だけでも聞き込みますか団長?」
騎士団長「そうだな……唯一の収穫は、このさんまのなめろうとアジフライがうまいってことだけだな! さすが漁師町!」
騎士「……」
騎士団長「ビールにも合う! 日本酒もうまい! くっはぁー! おばちゃんあとこのさんまの一夜干しね!」グビー
騎士「……」
騎士団長「あ、お酒飲んじゃったから帰りの運転よろしくぅ!」プハー
騎士「……」
▲ ▲ ▲
騎士2「お、帰ってきたのか、早いな。……おい、団長はどうした?」
騎士「そいつは千葉の海で死んだ。はいこれお土産」
▲ ▲ ▲
騎士団長「うわあああん……」
騎士団長「ここどこぉお?」
騎士団長「部下に置いてかれたあぁ……クソ田舎の土地勘なんかないよぉ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます