第3話 女騎士奮闘編
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騎士「なんか女騎士とあっちこっちいって名物食ってるところを撮影してるようですね……あ、北海道でジンギスカン食ってる。仙台じゃ牛タンかぁ」
騎士団長「いいなぁ……カニ食べたい……」
騎士「しかしこいつはますます目的がわからなくなってきたな……どうしますか団長?」
騎士団長「とにかく、まずは犯人の特徴を掴まないといかんな。まずこの最新の映像が取れた北陸へ行ってくる! 空振りになるかもしれんが、まずはそこからだ!」
騎士「団長!」
騎士団長「止めるな騎士、彼女を救うためだ!」
騎士「経費で北陸行ってカニ食べたいだけでしょ?」
騎士団長「……か、彼女を助けるためなんだ! 信じてくれ!」
騎士「だめです」
△ △ △
女騎士「く、なんだその化け物だ! 私をそいつの餌にするつもりか!」
山賊「くっくっく、そいつぁ楽しそうなことだ……だがもっと良い物を見せてやる……こうして水を飲ませてパンパンなった腹をさばいて……ほうらアンコウの七つ道具のお目見えだ!
まずは新鮮な肝からアンキモを作るぞ! それから唐揚げ! 最後は鍋だ!」
△ △ △
女騎士「おのれ……この私をどうするつもりだ!」
薄暗い部屋の中で、鎧の女は叫ぶ。流れるような金髪、色素の薄い肌。平素ならば凛々しさと勇敢に満ち溢れたその表情には、今は恐怖と動揺が浮かぶ。
彼女は今、拘束されていた。自由を奪われ、目の前の男に生殺与奪を握られている。
女騎士「答えろ!」
山賊「くっくっく、元気なお嬢さんだな……これは躾がいがありそうだ……」
彼女の自由を奪った男は、黒々とした髭を生やしていた。樽のような体型。目には残虐と嘲笑がある。
女騎士「どのような理不尽に合おうとも、私は屈さない!」
誇り高き女騎士の、孤独な戦いが始まる。
△ △ △
女騎士「今度は煮えたぎった油……! それを私にかけて苦痛に歪む姿を楽しむということか!」
山賊「くっくっく、やれやれ近頃のお嬢さんは想像力が逞しいもんだ……これはこう使うのさ、そうら揚げたての地鶏の唐揚げだあ!」
女騎士「く、たとえビールをつけられようと私はそんなものに屈さないぞ!」
山賊「おっと大切なものを忘れていた。タルタルソースをな」ブチュチュチュチュチュ
女騎士「おいやめろクソ山賊」
△ △ △
女騎士「今度はこんな作業服を着せて外に出すとは……私を強制労働でこき使うつもりだな! しかもこんな早朝から!」
山賊「くっくっく、労働は尊いものだぞお嬢さん……?
さあたけのこ掘りを始めるぞ! この時期のたけのこは貴重だ、取り立てを刺身で食わせてやる!」
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女騎士「山賊に捕らわれて早数ヶ月……だが私は諦めない!必ず自由になってみせる!」
山賊「くっくっく、なにをぶつぶついっている? さあ早くこの栗の渋皮を取る作業を済ませるんだ……今夜は栗ごはんだぞ!」
女騎士「わぁい!」
山賊「ゆず湯も用意してあるぞ、早めに入れよ!」
女騎士「わぁい!」
△ △ △
女騎士「く、なんだその化け物は!?」
オーク「ブヒヒヒ、こりゃ美人さんだなぁ……」
山賊「こいつは俺の仕事仲間さ……今日はこいつの特技を生かしてもらおうと思って連れてきたのさ……」
オーク「旦那も人が悪いぜ……こんな美人ならやる気も湧いてくるってもんよ……」
山賊「鼻が良いからトリュフ探しに打ってつけなのさ……!見ろよ上物の白トリュフだ、今夜は濃厚なトリュフソースを使った真鴨のローストだ!」
女騎士「やったぁ!」
オーク「やったぁ!」
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