第23話 再度決定

 あたしは二度目の生活保護の申請に来ていた。


 保護の解除の通知は、もう追い出されて住んでいないのがわかりきっているはずの寮に送られていたとのことだ。つまり、あたしが働いてお金を貯めて部屋を借りたことに関しては、何のお咎めもなし。渡りに船とはこのことだ。


 お役所特有の長ったらしい書類を書くにも、以前に生活保護を受けていたと書き、その後の生活についてだけ短くまとめたので、さして時間も手間もかからずに申請書類は出来上がった。


 そのまま、また何週間か待てば受給可能か不可能かの通知が来るはずなのだ。


 あたしはどうせまた【保護決定通知書】が来るだろう、そうたかをくくって、その日食べていけるだけのお金を稼いだら、帰って休んでいた。


 なんといっても、あたしは身体が弱いのだ。無理をして冒険に出たところで、倒れてしまって稼ぎ以上の治療費が必要になるのが目に見えているのだ。




 そして、3週間後、【保護決定通知書】が、再度あたしの手元にやってきた。これで、晴れてまた、金貨1枚だけを稼げばいいだけの気楽な立場だ。何ならもっと稼いで返納してもいいくらいに、体調はいい。だが、だからといって調子に乗ると痛い目を見ることを、あたしは誰よりもよく知っているつもりだった。

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