第3話 相談窓口
あたしは、役所に行くことにした。母親の葬儀費用の借金以来だ。
生活支援科と書かれたカウンターの前には、長蛇の列。
「あの、生活保護の相談に来たんですが……窓口はこちらですか?」
「すみません、今日は支給日でして、相談でしたら明日以降でお願いできますか? 本日でも、16時頃になれば相談だけならお受けしますが。」
役人の言葉は、どこか冷たかった。そもそも、相談だけなら、とは……?
「お客様の相談に応じた窓口のご紹介をさせていただく形になりますね。もしこちらで支援するということになったとしても、ただちに支給とはなりませんし」
なるほど、お役所仕事だ。きっとたらい回しにされる。あたしは知恵を絞って、言ってみた。
「私、生活保護の申請をしたいんです。相談ではなく」
「では明日11時に身分証と印鑑をお持ちになってこちらにお越しください」
あっさり。さっきから窓口に来るひと、片腕がなかったり、車椅子だったり……あたしなんて、到底受けられるとは思えないんだけど。とはいえ、申請すると言ってしまったものは仕方ない。明日来よう。
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