27冊目☆☆★ ロレイン・ヒース著「侯爵と麗しのサファイア」

勝手にレーティング:R18(一回を除くと控えめだけど)


「セント・ジェームズのスキャンダラスな紳士たち」第四弾です。

 醜聞とは無縁の清廉潔白な侯爵が、醜聞まみれのバツイチ元伯爵夫人と互いに惹かれ合うお話です。

 ヒーローのレクストン侯爵は馬が好きで、英国で最も速い牡馬と自分のお気に入りの牝馬を交配させる権利を条件に、あるアメリカ人女性が紳士と結婚できるように協力して欲しいと頼まれて引き受けます。彼はそのアメリカ人女性に気があるそぶりを見せなければならないのですが、お目付役として現れた悪名高い元伯爵夫人のほうに惹かれてしまいます。前半はヒロインの妹の求愛者を演じるヒーローとお目付役のヒロインが、本来惹かれるべき相手ではない相手にどうしようもなく惹かれていく様子が描かれます。ロマンス小説によくある、すぐにベッドの中でのことを想像するヒーロー&ヒロインに苦笑い。

 中盤でヒーローはすっかりヒロインを好きになりますが、でも醜聞のあるヒロインとの結婚はできないと思っている、そんな状況で馬の交配という最初の目的がバレて、取引はなかったことにされるのですが、ヒーローの社交界における影響力が凄まじかったと改めて知ったヒロインは、妹の結婚のためにふたたび取引を持ちかけます。けれど、ヒーローが取引の代償に望んだのは馬ではなく彼女自身だった。ふたりは愛人関係になるのだが……


って感じで。

とにかくヒーローが素敵でした。中盤以降でヒーローがヒロインの笑顔を見るために色々尽くしてくれるところとか、終盤のヒロインの幸せのためにすべてを賭けられると言わんばかりの行動とか、すごく真摯で一途で、最後のプロポーズのあたりでは胸がじーんとして涙が出てしまいました。

助走をつけて最後の方で一気に燃え上がる感じの展開。この作者さんはこういうの上手いなぁって思いました。

 個人的にはヒーローのプロポーズの仕方が最高にツボ。プロポーズの直後の行動とか。めっちゃ可愛いって思いました。


 関係ないけど、今作で二作目ヒロインの兄のサマーデールがヒロインの妹の求愛者として登場するので、二作目のエピローグ(彼はアメリカ人の女相続人と結婚したという内容)からして妹と結婚するのかなって思ったのですが、違うみたいですね。シリーズ第五弾はレクストンの弟アンドリューと本作ヒロインの妹の話みたいです。サマーデールのほうが好きだったのでちょっと残念。情けないヒーローが成長するお話を読んでみたかったんだけどな〜

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