26冊目☆★★ ロレイン・ヒース著「公爵家の籠の鳥」
勝手にレーティング:R18
子供の頃公爵夫妻引き取られ、次期公爵の婚約者として育てられたヒロインが、貧民街育ちの大富豪と危険な恋に落ちるが、彼は実は公爵の私生児で、公爵への復讐のために彼女に近付いたのだった——というお話。
別シリーズの二作品がものすごく良かったので、期待していたのがいかんかった。
まずヒロインに魅力を感じなかった。プラスの面として描かれる部分がロマンス小説のヒロインにはありがちなものばかりで、それだけなら対して気にならなかっただろうけど、ほぼ婚約者という状態の相手がいるのに悪い遊びとやらにやたら興味津々でヒーローと出会ったら速攻でときめいて平気で何度もヒーローとふたりで会って、貞操観念ががばがばすぎて本当に無理。そのうえ、事あるごとに婚約者はこんなことしてくれない、婚約者はこんなこと言ってくれない、婚約者は……って婚約者とヒーローを比較してばかりで性格悪すぎ。この婚約者がヒロインに対して下心とか性的欲求を出さないのはヒロインが思っているのと全く同じで、相手もヒロインのことを異性としてではなく妹のように思っていて、この婚約者の場合は結婚が避けられないものだと思っているからじゃないのかって思ってしまいました。ヒーローも異母弟であるヒロインの婚約者を罠にはめておきながら、やたらと糞野郎だのクズだの言いたい放題。でも理由は父親に捨てられたからという理由で全く罪のない相手を陥れようとしている馬鹿。当然感情移入なんてできませんでした。
ヒロインの婚約者は確かに馬鹿だけど別に性格がめちゃくちゃ悪いわけでもないから、貧民は見下さない(魅力として描かれている部分)けど平気で婚約者を他と比べて見下してるヒロインにも、自分と比較して見下してるヒーローにも全く魅力を感じませんでした。
この婚約者を下げてヒーロー上げる描写がとにかくしつこくて本当に読むのがつらかった。なんでそんな風にしたんだろうなって。他作品ではそんなことしなくてもヒーローとヒロインの魅力をしっかり描ける作者さんだったので本当に残念という感想しかありませんでした。
終盤、完全にふたりが相思相愛になって婚約者下げがなくなってからは問題なく読めましたが。ヒーローの復讐の駒にされていたと知った後のヒロインの考え方には共感できたし(でもヒロインを復讐の駒にしようとしたことも罪のない婚約者を陥れようとしたことも事実なのに、なかったことみたいにされてるのは納得できない)物語の落とし所や、ヒーローが生まれて捨てられた経緯に関する公爵と公爵夫人関係の話については伏線もしっかり張られていて「そういうことか〜!」って納得だったし、上手いなぁって素直に感心したし、良いハッピーエンドなのかなとも思うけど、読後感は悪くないものの、やっぱりこうして内容を思い返してみてももやもやする作品でした。
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