21冊目☆☆☆ リサ・クレイパス著「パンドラの秘めた想い」

 勝手にレーティング:R18


「ザ・レイヴネルズ」シリーズの3作目。

 レイヴネル家の令嬢パンドラは結婚したくないからと自ら壁の花になっていたけれど、唯一の友人にイヤリングを探してきて欲しいと頼まれて夜会会場を抜け出して東屋に向かったところ、椅子と壁の間に挟まってしまいます。ドレスが破れかけるわ汚れるわで困っていたところに、今作のヒーローであるセントヴィンセント卿ガブリエルが現れて手助けをしてくれるのですが、その光景を夜会の主催者に見られてしまいました。ガブリエルはパンドラの名誉を守るために彼女と結婚すると言い出したものの、パンドラは結婚なんてしたくなくて…という内容。

 前半はレイヴネル家の面々がガブリエルの家族であるシャロン家の面々と1週間暮らすなかで、パンドラがガブリエルの求婚を受け入れる決心をするまでのお話。後半は結婚してからの話で、パンドラがある事件に巻き込まれて大変なことになります。

 お気付きの方もみえると思いますが、今作のヒーローであるガブリエルは「壁の花」シリーズの「冬空に〜」のふたりの息子です。セントヴィンセント卿だったセバスチャンはキングストン公爵になって、良いお父さんになっています。エヴィーともらぶらぶで、冬空ファンとしてはこのふたりの話が読めただけでも嬉しかったり。ガブリエルは放蕩者だった父とは違い、見た目も性格も素行も良いパーフェクト紳士です。前半でその魅力を余すことなく振りまいています。自立精神が半端なく強いパンドラの心を彼が射止めるまでのいきさつは面白かったり切なかったりで、ページを捲る手が止まらない感じでした。

 一方で、後半の事件の話やその後ガブリエルが辛い状況に追い込まれるあたりは少しダレてくるというか前半ほど夢中にはなれませんでした。パーフェクトだった彼の人間的な欠点が描かれるからかもしれません。

 そういうわけで、読み終えた時点では評価を☆2つにしようか迷ったのですが、やっぱり前半のガブリエルとキングストン公爵夫妻が最高だったので☆3にしちゃいました。

 相手のあるがままの姿を受け入れて愛することができるガブリエルがとても魅力的な作品でした。

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