第232話 私が彼女よ!(Ⅴ)

 ……おりょ?


 と、ここで、この波乱を巻き起こした解説員のミカエラの姿が見えないぞ……と思ったら、美穂ちゃんとアルねぇ捕まえて、何やら身振り手振りで説明しているっ。


 あれは何だ? 何かを……口元に……運んで……レロレロしてる。 レロレロしてるぞぉ!


 おぉっとぉ、美穂ちゃんとアルねぇの目が点になってるー!


 これはっ!


 これは、この場で表現してはなんじゃなかろうか? 乙女の口からは、決して発してはいけない事象なのではなかろうか? いったいミカエラ解説員は、何を説明しているんだっ?


 くーっ!


 もっと英語を勉強しておくんだった。


 悔やまれるっ! 本当に悔やまれるぅぅ!


 と思ったら、今度はミカエラ解説員が立ち上がったぁ。


 何をする気だ、一体何をする気なんだぁ。


 うぉっとぉ。ミカエラ解説員、今度は踊り始めたぁ。


 腰を色っぽくフリフリ!


 それに合わせて、ピンクの尻尾しっぽもユラユラ!


 めっちゃ可愛いぃ! すんごく可愛いぃぃ!


 あの尻尾しっぽどうなってるんだろ? 本物みたいにちゃんと動くぅぅ!


 うわぁぁ、欲しいぃ! あの尻尾しっぽめっちゃ欲しいぃ!


 と思ったら、なんだその手は? その手の動きは何なんだ?


 じじじ、自分のちちをっ! 自分のちちを持ちながら、ミカエラ解説員が踊ってるぞぉ!


 はあっ! これは勝者の踊りっ! 勝者の踊りに違い無いっ!


 ミカエラ解説員、その視線の先には、すっかり『貧相』でおなじみの、美紗ちゃんがいるっ! ミカエラ解説員勝ち誇ってるっ! めっちゃ勝ち誇っているぞぉ!



 ――ヒュンヒュンヒュン……スコーンッ!



 美紗ちゃんが投げたー! ベニズワイガニのハサミを投げたー! これは凶器攻撃きょうきこうげきだー!


 しかもミカエラ解説員のおでこに見事みごとヒット!


 その横で、美穂ちゃんとアルねぇが、腹を抱えて大爆笑だぁ!



「ナイス、ピッチーングッ!」



 と、思ったら。



「はっ! 駄目だめダメッ!」



 美穂ちゃんが急に叫んでる!


 振り返って見れば、リーちゃんがコップを、ダニーがブランデーのびんを掴んで投げようとしているぞっ!


 これは危険だっ、流石にこれは危ないぃ!



「はいはいはいっ! 一旦ストーップ! ここまで、ここまでー。このお話しはここまでー。みんな手に持ったグラスや瓶は、テーブルにもどしましょー」



 ふー、良かったぁ。一時はどうなるかと思いましたが、美穂ちゃんがしっかり仲裁ちゅうさいにはいりましたー。


 あぁ、びっくりしたぁ。


 さすが美穂ちゃん、冷静ですねぇ。


 でも、ダニーに、リーちゃん、美紗ちゃんも怒りが収まって無い様ですよ。


 だって、目が完全に怒ってるものぉ。


 どうする美穂ちゃん?



「はい、はい、はいっ、と言う事で、この話のMVSを決めまーす。今回のMVSは?」


「ドロドロドロドロドロ……」



 美穂ちゃんっ!


 急にMVS決めるの? 「Most Valuable すべらな〇話」……決めちゃうの?


 いつの間にそんなルールになってたの?


 しかも、ドラムロールがドロドロって! ドロドロって、何なの? キャハハハハ! 美穂ちゃん、ドラムロールへったくそぉ!



「……じゃかじゃん!」


「今回のMVSは……ミカエラちゃんの、「慶太をペロペロ」した話ですっ! はい、みんな、拍手、はくしゅー!」



「「「……」」」



 三人はドン引き、ドン引きしてるぞぉ!


 しかーし!



「あははは! みーちゃんおめでとー! とっても面白かったよぉ!」



 ――パチパチパチパチ!



 あたー! アルねぇ、お構いなし、お構いなしで、拍手だー!


 しかも、ミカエラ解説員、美穂ちゃんのポッケから出て来たミ〇キーあめちゃん貰ってるぅ!


 MVSになると、ミル〇ーあめちゃん貰えるんだぁ。良いなぁ。



「みやー!」


 

 ミカエラ解説員、めっちゃ笑ってる、めっちゃ嬉しそぅ。


 逆に、それを見つめてる他の三人は、めっちゃ悔しそう。



「なっ、何がなんだか分からないけど、美穂姉様みほねぇさまがそう決められたのなら、仕方が無いですよね。これが高橋家のルールであれば、将来のとしては、従わない訳には行きませんもの」



 いやぁ、美紗ちゃん認めちゃったよぉ。


 って言うか、高橋家にそんなルールがある訳無いだろっ。って思うけど、まぁ良っか?



「くっ、美紗ちゃんの『』の件は置いておくとして、まっ、まぁ『すべらない話』と言う事であれば、仕方がありませんね。私には異論は御座いませんよ。つつつ、次の話では負けません事よっ」



 おぉっとぉ、ダニーも認めたっ! 認めちゃったぞぉ!



「そうですね。ダニエラさんが、そう言われるのであれば、私も問題はありませんよ……」



 なんと、リーちゃんまで合意だっ。


 強引っ! なんとも、美穂ちゃんの強引な天然が、この争いに終止符を打ったぞぉ!


 と思ったら、リーちゃん、まだ何か言い足りない事があるのかぁ?



「まぁ、大体、ハグだか、揉んだだか……の話なんて、私にとってはレベルの低い話ですよ。何しろ、私はついさっきまで、皇子様と一緒にお風呂に入ってたんですからねぇ。うふふふ」



「「はぁっ?!」」



 ――ピシッ! 


 

 折角せっかくなごんだと思った部屋の空気が、リーちゃんの更なる一言で、一瞬の内にてついてしまったぁ!


 一体どうなる高橋家っ!

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