第231話 私が彼女よ!(Ⅳ)

「何っ! どう言う事? 慶太くん、昨日の夜に、このネコむすめに手を出したって事? ねぇ、ダニー、どう言う事なの? あなた、昔から一緒にいたくせに、何をやってたのっ!?」



 うわぁぁ、美紗ちゃん激おこぷんぷん丸です。しかもその矛先ほこさきは、なぜだかダニーへ。


 正直、美紗ちゃん、ダニーとはさっき初めて会ったはずなのに、何故か上から目線なんだよね。しかも、ちょっと偉そうなのはどうして? それに、ダニーもなんとなく美紗ちゃんに弱気なのはなぜ? 何かダニーは美紗ちゃんに弱みでも握られているの?


 まぁ、事の発端ほったんは、にーちゃんの手の早さにあるんだから、ダニーも被害者の一人と言う意味では、ちょっと可哀そうな気もするぞぉ。



「ごっ、ごめんなさいっ!」



 あたー! ダニー謝っちゃったよ。ダニー美紗ちゃんに謝っちゃったよぉ。


 ダニーはこう見えて、とっても乙女なんだよ。許してやっておくれよぉ。本当はとっても良い娘なんだよぉ。特に恋愛に関しては、ズブの素人なんだよぉ!



「いやいやいや、良く考えたら、どうしてわたくしあやまらなければならないのかしら? そんな話、私は報告を受けてはいませんよっ! リリリ、リーティアッ! これは、これは一体どう言う事なの? ちゃんと説明しなさいっ!」



 あはは、良く考えたら、自分が悪くないって気付いたみたい。その上で、自分に向いた矛先を、今度はリーちゃんの方へ受け流してる!



「えぇっ、いや、あのぉ。ごごご、ご報告が遅れたのは……あのぉ、そのぉ……」



 かー、やっぱり、リーちゃんはダニーに頭が上がらないっ。


 しどろもどろ、完全にしどろもどろの状態だぁ。


 ここは完全に上下関係が固定化されているぞっ!


 あぁ、そう言えば、リーちゃんって、意外と序列とかルールにキッチリしてるんだよね。


 この前も二人で駅前のラーメン屋に行った時……って、え?


 二人でラーメン屋行く事があるのか? って? うん、あるよぉ。結構仲良いんだよ、私たち。


 だから言ったじゃん。


 リーちゃんは、ちょっと『あざとい系』入ってるけど、じっくり話すととっても律儀りちぎで、曲がった事が大嫌いな良い娘なんだってぇ。


 あぁ、でも私はダニー派閥だから。そこの所、間違えないでね。


 でね、でね。


 ラーメン屋で並んでたらさぁ、どっかのリーマンが割り込んで来たのよぉ。


 もう、最低さいってー


 多分お酒でも飲んでたんだろうねぇ。ここって田舎だからさぁ、普段そんな事する人なんて、ほとんどいないんだけどねぇ……って、何? まだ何か聞きたいの?


 あぁ、飲んだリーマンがラーメン食う様な時間まで、駅前で何してたんだ? って事?


 いやいや、あんた。田舎を舐めてもらっちゃ困るわよぉ。ちょっとした買い物に行こうとしたら、隣の県まで行っちゃうからね。マジ、行っちゃうから。


 しかも、学生はお金なんて持ってないんだから、もし持っててもお洋服買いたいじゃん。そうなると、高速バスよ、高速バス。一時間ぐらいで行けちゃう訳よ。しかも、めっちゃ安い!


 そんでもって、お腹空いたねーってなって、ラーメン屋に並んでたって訳よ。


 そしたらさぁ。割り込んで来たリーマンに向かって、リーちゃんがこう言う訳よ。



「あなたッ! そこの貴方っ! 良い年した大人おとなが、順番の一つも守れないのっ!」



 って、格好かーっこいーい!


 もう、その後は、ボロクソ。


 聞くにえない罵詈雑言ばりぞうごんの嵐。


 には垂涎すいぜんまととももくされる、美少女からの言葉責ことばぜめだけど、一般人には、その精神に致命的ちめいてきなダメージを与える凶器きょうきでしか無いわね。


 しまいにはすっかり心をヤラれて、そのリーマンちょっと涙ぐんじゃって。たははは。


 もう、めっちゃすごかったわぁ。


 って事で、曲がった事が大嫌いなリーちゃん的には、ダニエラさんを認めてるって事なんだろうねぇ。



「と言うよりもですよ、美紗ちゃん。あなた「何してたの?」ってダニエラさんにそう言うけれど、美紗ちゃんはまだ今カノだって言ってたじゃない。そんな今カノがなもんだから、こんな事になってるんじゃ無いの? それとも、やっぱり美紗ちゃん、元カノ確定って事で良いの?」



「うぐぐっ!」



 うぉぉっとぉ、正論だっ。この話の本質を突いて来たぞぉ。本来はダニーが最初に気付くべき所だけど、奥手のダニーにこの反撃は難しいよね。


 そこの所、今時女子いまどきじょしであるリーちゃんならお手の物だぁ。


 しかも、何気に『貧相』ってディスってる。うーん。恐るべしリーちゃん!


 しかも、美紗ちゃん、何も反論できないっ。完全に反論を封じ込められてる。よっぽど『貧相』攻撃がこたえている様だぞぉ。たははは。


 まぁ確かに、確かにリーちゃんは『貧相』とは程遠ほどとおい、めっちゃナイスバディなんだものねぇ。


 やっぱ、外人さんて発育が違うよね。


 あんな童顔どうがんなのに、ボン、キュッ、ボンって感じでしょぉ。


 ……あっ!


 そう言えば、隣にも、ボン、キュッ、ボンの新入り外国人がいたわ。



「ねぇ、ねぇ。みーちゃん! ワット イズ ザ サイズ オブ カップス イン ユア ブラ? ……って、あれ? みーちゃん……何処行った?」

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