第233話 はだかの付き合い(Ⅰ)

「はぁ、はぁ……なんて事? どう言う事なの?」



 あららぁ……。


 リーちゃんの爆弾発言で、美紗ちゃんが項垂うなだれたまま、何かうわ言の様につぶやいてますよ。


 別に悪酔いした訳では無さそうだけど、顔が真っ青。


 これはかなりこたえた様子ですね。


 だって、そりゃそうでしょう。


 自分の彼氏が、自分より年下の、しかもプリプリの極可愛ごくかわ娘と、一緒にお風呂に入ってたって言うんですよ。


 あぁ、無いわぁ。私だったら無いな。


 残念ですけど、そのとは別れますね。えぇ、絶対に無理。


 そんな男はこっちから願い下げですよ。


 ……でもまぁ、ねぇ。相手が慶太にーちゃんって事だからねぇ。


 しかも、今時点では、慶太にーちゃん、私の彼氏って訳じゃあ無いしねぇ。


 うーん。困ったなぁ。


 この後、親友リーちゃんが元カノになるって言うのもねぇ。うーん。


 まぁ、ねぇ。知ってる人が元カノって言うのは、逆にね、逆に安心するって言うかねぇ。


 でも、元鞘もとさやに戻るって事もありそうだしなぁ。


 うーん。


 これはちょっとに掛けねばならない事案になりそうですなぁ。


 にしても、ウチのパパは慶太にーちゃんイチ推しだからなぁ。


 うーん。親が決めた事とは言え、私も嫌では無いしぃ。


 どうしよっかなぁ。


 まぁ、慶太にーちゃんが、ちゃんと『リーちゃんと別れたよ』って言ってくれたら、私は別に許すかなぁ。


 でも、もちろん私と結婚した後で、リーちゃんとお風呂に入ったら、タコ殴りにするけどね。


 もう、絶対に許さない自信はあるわね。


 って言うか、本当にリーちゃんとお風呂入ったのかなぁ。


 う~ん。どうなんだろう?



「これこれ、リーティア。そんな風に言ってはふたもありませんよ。MVSを取りたいのは分りますが、それでは難しいと言わざるを得ませんよ」



 なんだ、なんだ? この大人の余裕。


 ダニーはリーちゃんの話が盛ったものだと看破かんぱしたとでも言うのか?



「だぁってぇ、ダニエラさん。本当の事ではありませんかぁ。皇子様のお背中を流すのは、私のお役目ですものぉ」



 えぇ? どう言う事? リーちゃん、そう言う仕事してるの?


 なになに? 高橋家では、リーちゃん、そう言うバイトしてるって事なの?


 時給いくらなの? そのバイト、私も出来るの? 



「ちょちょちょ、ちょっと待って? この娘、高橋家ここでそんな仕事をしてるって事なの?」



 美紗ちゃん、ナイス突っ込み!


 そこの所、私も聞きたかったっ!



「まぁ、それが奴隷としての仕事リーティアのお役目ですので。お役目の事で自慢されても、如何なものかしら? と言う所ね。何しろ、皇子様にはまだ奴隷おつきは、彼女ひとりだけなのですから」



 えぇぇ? オツキ? オツキって、どういう制度? 三助……みたいな感じ? って言うか、三助なんて、いくら田舎の北陸でも、もう居ないわよ? って言うか、銭湯自体が無いもの。


 って……はっ!


 リーちゃんまさかっ! そのまさかなの? 


 泡の……泡の方のお風呂で働いているの?


 ねぇ、リーちゃん。駄目よっ、駄目ダメ! そんな所で働いちゃ! まだ未成年でしょ?


 って言うか、十八歳過ぎてたら大丈夫って事? そう言う事? そう言う事なの?


 はうはうはう!


 痛恨っ! 私達親友だよっ! もっと早く私に相談してくれなきゃぁぁぁ!



「ダダダ、ダニエラさん! こここ、この娘、ももも、もしかして、いいい、イカガワシイ所で働いているって事なのぉ?」



 美紗ちゃんナーイス! 先程に続いて、ダブルナーイスッ!


 そこん所聞きたかった! 私ではとても聞けなかったぁ。もう、美紗ちゃん、マジ神っ!



「「はぁ?」」



 ダニーとリーちゃん、二人とも何言っているの? って顔してる。


 って言うか、あんた達二人が何言ってるの? って事なのよ。分かってる?



「何言うとんがけぇ。リーちゃんは働いとるがんじゃなくってぇ、お役目ながやぜぇ?」

(翻訳:何を言っているのかしら? リーちゃんは働いているのではなくて、お役目なのですよ?」



 かー、アル姉酔っ払いは少し黙ってろっ! アル姉あんたが参入すると、分かるものも分からなくなる!


 って言うか、美穂ちゃんは? 美穂ちゃんはどうなの、この話知ってるの?


 って、振り返ってみたら。


 何やってるのぉ、美穂ちゃん!


 こんな大事な局面で、何でみーちゃんとオセロ始めてるのぉ!


 いつの間に持ってきたの? そのオセロ。


 って言うか、みーちゃん強いっ! 美穂ちゃん負けてるじゃん。なんだか妖しいネコ娘コスの子供に、アッサリ負けそうじゃん。


 ……あぁあぁ。


 美穂ちゃん、そこに置いちゃだめ。駄目だってぇ。そこに置いたら……って、あぁぁぁ、ほうら言わんこっちゃない、全部ひっくり返されちゃったじゃん。


 美穂ちゃん、何頭抱あたまかかえてるの?


 って、『待った?』『今のナシ』って? 


 もぉぉ。こども相手に、本気で土下座してるわよ。


 美穂ちゃん、もういい大人なんだから、それは止めようよぉ。大人げないよぉ。


 ……って、ちがーうっ!


 そんな事より、リーちゃんよ。リーちゃん。



「……なぁんだぁ。そう言う事ですか。それならば仕方がありませんねぇ」



 って、なにーっ!


 いつの間にか、美紗ちゃんが納得してるっ! どう言う事? どう言う事なの? どうなったの、どう言う事で、話がまとまったの?


 はうはうはう!


 痛恨っ! めっちゃ気になる所を聞き逃したぁぁ!



「ごめんなさい。私、失礼な事を言ってしまって。リーちゃんあなたもお役目、ご苦労様ね。えぇ、お役目ならば仕方が無いわよね」



 かぁぁぁ。お役目、お役目って何なの? それで話が付く様な内容だったって事? まぁ、失礼な事言ってしまって……って言ってる所を見ると、リーちゃんは本職プロって訳では無さそうね。はぁ、それはそれで良かったって事……。


 で、納得できるかーいっ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る