二十二章 女子会(皇子ルート)
第215話 幸せの予感
「美穂さーん。
そして、そこから奥へと続く長い廊下は、都会のマンションであれば、優に1LDKが収まってしまいそうな程に広い。
その家は、
廊下の
彼女が声を掛けたにも関わらず、特に
恐らく声が届いていないだけなのだろう。
彼女はそのまま家の中へ入ろうと、自身の
何しろ彼女が幼少の頃から出入りしている
しかも、つい今しがた、この家の次世代
時がくれば、この家の
そう考えれば、ほぼ『我が家』と言っても
彼女はその
「へへッ、エヘヘヘ……」
いつしか彼女は
――ジュルリ
「あぁ、駄目ダメ。ヨダレが……」
自身のヨダレで、急に我に返る。
そんな幸せいっぱいの彼女が、ふと
「はて? 他にも来客が?……」
グリーンのスノーブーツは見た事がある。これはリーティアの靴だ。
どうやら無事到着しているらしい。
ちゃんと言いつけた通りに
と言うのも、彼女は自分が皇子様の
その目的は何か?
まず第一に、ミカエラの事である。
残念ながら、現代日本に獣人の娘は存在しない。……事になっている。
にも関わらず、外部の人間がこの家を訪れて、最初に出て来たのが獣人と言う
とにかくミカエラをアル姉の部屋に押し込めて、外部の人間と接触させない様にする事。
その為には、多少不本意ではあるけれど、一部魔法の使用についても許可を出していたのだ。
すぐに
魔法の許可を出した時の、
今さらながらに考えてみても、『少々ミスったか?』と思わなくも無い。
第二は、
これまでの
その為、『出来れば家には上げず、出来るだけ美穂様に会わせない様、追い返してしまいなさい』と言い聞かせておいたのである。
ただ、第二の点については、時間的制約もあり、完全に面会を阻止する事は難しいと思ってはいた。
しかし、このフェラガモのパンプスを見る限り、どうやら
リーティアは一体何をしていたのか?
まぁ、そうは言っても、リーティアはまだ若い。
そこまでの事をリーティアに
『でも、
彼女の中の心の声が
まぁ、そうは言っても、結果的に
「ふぅ……」
仕方が無い。ここは自分の出番か。
異世界側との時差を考慮しても、既に時刻は夕飯時である。
ここは
そして、ゴム長靴が二足。
一足は、
靴好きの自分にしてみれば、その時の苦しい胸の内が良く分かる。
いやいや、ここで共感していてはいけない。
いずれは、一つの
さて、残るはもう一足の長靴だが……。
アル姉のものにしては小ぎれいで小さい。アル姉は慶パパ様のお下がりで
「……はて?」
まぁ、それは置いておこう。
彼女は
スウェード地のハイヒールブーツをそっと
ひと際美しいレッドソールが大のお気に入り。
「ふふっ」
その赤い色を見る
「ん~ん~る~~ららぁ~」
今、まさに女の幸せを実感しつつ、足取りも軽く居間の方へと急ぐ彼女。
ただ、その数分後、その
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