第64話 仇との再会
「「フミフミ、フミフミッ!」」
結局、家政婦長さんに連れて来られたのは、メイド用の屋敷内に設けられたテルマリウムでした。
この後、貴族様が直接私達を見て、どこに売るのかを決める事になるのだそうです。
その貴族様に気に入られる事が出来れば、この屋敷で働く事もできるそうなので、一緒に連れて来られたお姉さんたちは必死で自分の体を磨いています。
――えっ? 私? 私は、ヴァンナさんに髪を洗ってもらってから、お姉ちゃんやヴァンナさんと一緒に浴槽に浸かっている所ですよっ。
この浴槽、大理石で作られているらしくって、十人ぐらいなら、ゆったり寝そべって入る事ができるほど大きいんです。
とにかく桁違いに凄いです。これだけのテルマリウムを屋敷の中に持っていると言うのも凄いんですが、この大きな浴槽を一杯にするだけのお湯を作れると言う事も凄すぎます!
私達の村にはテルマリウムなんてありません。近くの沢に行って水浴びをするか、冬場でも桶にお湯を入れて、それで体を拭く程度がせいぜいです。
北方大陸の人はお湯をふんだんに使ったテルマリウムと言うものがある事は、お父さんに聞いた事があったのですが、こんなに気持ちの良いものとは思いませんでした。もともと、私達の村の人は、どちらかと言うと水に濡れるのを好まないのですが、このテルマリウムは本当に良いですねぇ。
――えっ? 私が何をしているのか? ですか? あれ? さっきも言いましたよね。同じ事を何度も聞かないでください。
「ふぅぅ……フミフミ、フミフミッ!」
――だから何ですか? 同じ事ばかり何度も聞かないでくださいって! えっ? 浴槽に入っている事は分かってるって? ……それで? ……はいはい。……あぁ、何をフミフミしているのか聞きたいって事ですね。
それならそうと、早く言って下さいよっ!
もちろん、ヴァンナさんの『おっぱい』に決まってるじゃないですかぁ。
――えぇ? もっと隠して言えって? もぉぉめんどくさいなぁ。『おっぱい』は、『おっぱい』です! もう良いでしょ!
「……ミランダちゃん、どうしたの? 眠くなった?」
ヴァンナさんが、フミフミしながらうつらうつらと船を漕いでいる私を見て、声を掛けてくれました。
「ううん。ちょっと幸せになって、眠くなっちゃった。てへへ」
私は、ヴァンナさんに向かってウィンクしながらチロっと舌を出してみます。
「もうっ! ミランダちゃんは可愛いわね!」
そう言うと、ヴァンナさんは、私とお姉ちゃんの二人を抱きかかえる様にギュッと抱きしめてくれました。
「はうはうはう!」
ヴァンナさんの爆乳はお湯にプックリ浮いているのに、弾力抜群! ギュッと抱きしめられると、お口もお鼻も全部塞がれちゃって、息が出来ません。
――あぁ、でも幸せぇぇ。……抱きしめられたまま、気を失ってしまいそう。
私の気が遠くなりかけた時、横でお姉ちゃんがヴァンナさんに話しかけます。
「ねぇ、ヴァンナさん、ちょっと舐めてみても良い?」
――おおお、お姉ちゃんっ? ……この期に及んで、何を言い出すのですか? お姉ちゃんは、私のお姉ちゃんなんですよ! よくもそんな恥ずかしい事が言えますねっ!
その話を隣で聞いていた私は、思わず横からヴァンナさんに訴えます。
「ねぇ、ねぇっ! ヴァンナさん、私も吸っていい?」
――あれ? ちょっと予定外のセリフを言ってしまいました。思わぬと言うか、本心と言うか……。自分の気持ちを正直に話せるお姉ちゃんって、やっぱり凄いと思います。
「うふふふ。もう、二人とも甘えん坊さんだなぁ。ママが恋しくなったの?」
ヴァンナさんは、笑顔で私達二人を交互に見ると、頷きながら「いいよっ!」って言ってくれました。
はぁぁぁ。ヴァンナさん、ありがとうっ!
私とお姉ちゃんは、ヴァンナさんのおっきなおっぱいひとつずつにそれぞれ吸い付きます。
私はヴァンナさんのおっぱいの先端にチューっと吸い付きながら、両手でおっぱいをフミフミしてみます。こうする事で、お乳が沢山出て来る事を本能で知っているのでしょうね。ついつい、フミフミしてしまいます。もちろんヴァンナさんはママじゃ無いのでお乳は出て来ません。
でも、なんだか懐かしいようで、嬉しいようで……。私はちょっと涙を流しながらフミフミしてみます。
ヴァンナさんは、私の方を見ながら、にっこり微笑んでいてくれています。
ふっと、隣を見ると、お姉ちゃんもヴァンナさんのおっぱいをフミフミしています。
お姉ちゃんの場合はヴァンナさんのおっぱいの先端を中心に私達種族特有の、ちょっとザラザラした舌で、大きく円を描く様に嘗め回しています。
うーん、ちょっと勝手が違う様な……。
お姉ちゃんは嘗め回したり、フミフミしながら、時折爪を立てたり。その都度ヴァンナさんは、「はうっ!」とか、「ああぁん!」とか、変わった声を出します。
うーん、やっぱり、ちょっと勝手が違う様な……。
まぁ、あれがお姉ちゃんのおっぱいの吸い方なのでしょうね。きっとお姉ちゃんもママを思い出しているのでしょう。
暫く続けていると、突然ヴァンナさんがちょっと自分の声をかみ殺した様な声を出して硬直したかと思うと、少しぴくぴくと痙攣しながら、急にぐったりと浴槽の中に寝そべってしまいました。
――あらあら、ヴァンナさん逆上せちゃったのかな?
隣でお姉ちゃんがヴァンナさんを抱きかかえ、少し申し訳無さそうに、なにやらお話ししています。
「ヴァンナさん、いつもミランダに優しくしてくれて、ありがとうございます。私達何も持って無いから、こんな事しか出来なくって……」
お姉ちゃんは、ヴァンナさんの目に浮かんでいる涙をペロペロと舐めてあげています。
ヴァンナさんは、上気して真っ赤になった顔をしながら、恥ずかしそうに何度も頷いているだけです。
どう言う事か良く分かりませんが、ヴァンナさんとお姉ちゃんが仲良しになれたのは、とっても良かったと思います。
私もヴァンナさんの反対側の目に溜まった涙を舐めてあげようとした所で、テルマリウムの入り口の方から家政婦長さんの声が聞こえて来ました。
「あぁ、主様、この様な所にまでお越しいただくとは恐れ多い。早々に準備をした上で、お部屋の方へと参りましたものを……」
家政婦長さんは、誰かと話をしている様ですね。
「いやいや、構わん。今回はタロスが頑張ってくれた様だからな。上玉が7名もいると言う事じゃ無いか? 早速
家政婦長さんとお話ししているのは男の人ですね。
「アッ、アゲロス様、私はその様な事は一言もっ!」
「はっはっはっ、弟よ、アゲロス様は、お前の功績に少しでも報いようとして下さっているのだ。ありがたく主様のお話しに乗っておけば良い」
ちょうどその声が聞こえた所で、入り口側の大きな柱の向こう側から、三名の男性と、その三人に付き従う、家政婦長さんの他、数人のメイドが表れました。
「ほっほぉぉ。確かにタロスの申す通り、今回は上玉が多いな。それでは早速見分と参ろうか。おい、イリニ、そのランプの前に全員を集めてくれ。俺たちは浴槽の中からそれを眺める事としよう」
中央のでっぷりしたおじさんがそう言うと、家政婦長さんが浴槽にいる娘達に対して、いそいで柱の前に並ぶ様、指示を出します。
私達三人も、家政婦長さんに命じられるまま、柱の前に整列しました。
「よし、タロスにサロス。お前たちもワシと一緒に浴槽に入る事を許そう」
そういうと、でっぷりおじさんはお付きのメイドさん数名に手伝ってもらって、その豪華な衣装を全て脱ぎ去り、浴槽の中へと入って行きました。
そして、タロス、サロスと呼ばれた筋骨隆々の男二人も、同じ様に全裸になると、でっぷりおじさんの両脇を固めるかの様に、浴槽内で陣取ります。
「お姉ちゃん、タロスがいるよ……」
私は、他の人には聞こえない程度の声で、お姉ちゃんに耳打ちします。
お姉ちゃんは、ヤツの顔は死んでも忘れない! とでも言わんばかりの険しい表情で、タロスの事を睨みつけていました。
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