第26話 ようやく歯車が回りだす

そして、夕食はゲリオールとの約束通り猫ひげ亭での宴会だ。

そこには、ミラにクレイ、ロロアをはじめ村人全員が集まった様だった。


そこでゲリオールが私をビッグホーンを倒した者として紹介した。


「本当か⁉」


「この譲ちゃんが⁉」


「凄腕の冒険者なのか⁉」

その紹介に皆が口々に感想を言うのを制止して


「この譲ちゃん……いや、刹那がビッグホーンを打ち取ったのは確かだ。俺とロロアが証人だ。よって今日は村の悩みの種だったビッグホーンの討伐と、この村に新たに加わった仲間の刹那の歓迎会を兼ねての宴会だ!」


そう言ってゲリオールがジョッキを高々と掲げると皆が一斉に叫んだ


『おぉ~乾杯!』


こうして宴会が始まった。

その中で皆が興味津々に私に同じ様な質問を投げかけてきた。

が、当然その様な面倒な事は想定していたので、事前に用意しておいたシナリオを披露する事にした。

そのシナリオとは……


自分は今まで、森の中の一軒家でひっそり暮らしていた渡界者の子孫であり、女神様の啓示を受けてこの世界の問題解決の糸口を探す為に旅に出た世間知らずの冒険者見習いであると。

そして旅に出て直ぐにドリュアスのレルンに会い、巨樹の森でエルエトンから神代樹の実を受け取り、この村に連れて来てもらった事を話した。


ビッグホーンを倒した銃に関しては、先祖伝来の武器だとしておいた。

これで、余計な詮索はされないはずだ。


流石に私自身が渡界者だとか、生命エネルギーがどうとかは隠しておいた方が良いだろうと判断した。

ミラとクレイには事前に設定を言ってあるので安心だろう。


これである程度の説明はしたのだけど、それでも渡界者の話と女神様の話を聞きたがる者が多かったし、魔法使い達は世界の問題に対する情報交換をしたがった。


どうやら渡界者の話は吟遊詩人達によって物語として人気があった様で、大地を走る鉄の蛇だとか空を飛ぶ鉄の鳥の話をせがまれた。

……随分な話の変わり様だけど、前者が列車で後者が飛行機の話だった。


見たこともない未知のモノなら、身近なモノに置き換えて変遷していくのは普通なのかも……ちょっと面白い。


世界を覆う問題に対しては、驚く事に魔法使い達はある程度正確な情報を持っている様で、それはクレイも同じだった。


生命の不妊と劣化……それらの原因がエーテルや魔力以外に起因する事など、世界規模で調査が行われていたと言う事だったが、ある時を境に情報が開示されなくなったのだとか。

しかしココに居る魔法使い達にはその事は専門分野ではないらしく、新しい情報に飢えている感じだった……


私は女神様に聞いて、ある程度の現状を把握している。生命体のモンスター化と劣化個体の繁殖力の特異性。生命エネルギーの不足と他種の犠牲による延命の可能性など。

ただ、これらの情報を私以外の渡界者仲間が知っているかは不明だ。何故なら、これらの情報は私が質問して得たモノで、女神様から教えられる元の知識の中には無いモノだから……同じ様な疑問に辿り着いた人で質問していれば知っているかも知れないけど……


でも、取りあえずは今の段階では役に立たない知識かな。


そんなこんなで魔法使い達の質問攻めをかわした後にはドワーフ達が待っていた。


「その銃は凄いそうじゃな?」


「こんな小さな玉がビッグホーンの頭蓋骨に穴を開けたじゃと?」


「魔法銃とは撃ち出す機構が違うのか?」

等々、銃とビッグホーンを倒した時の質問攻めだった。


そんな中、ゲリオールがビッグホーンの報酬についての話をしてきた。

 

「皆が刹那に色々聞きたいのも分かるが、こちらも大事な話がまだなんだ。関わる者も多いんでその話をさせてくれ」

ゲリオールがそう言ったのには訳がある。


結果的にビッグホーンを倒したのは私自身だけど、それを処理する事は出来ないのでドワーフの工房に売る事になったのだ。そしてこの村のドワーフの殆どが工房に所属していたし、更に肉などは猫ヒゲ亭が引き取る事になった様だった。


「それでだ、刹那。ビッグホーンの報酬なんだが……さっきの話からお前さんにはリオンで払った方が良いと思うんだがどうだ?」


確かに、この村では殆ど貨幣の流通はないという事だったけど、この先冒険者を目指していくなら資金は必要だろう……しかし、火薬の事もあるから暫くはココを拠点にしようと考えているので……


「……その方が有難いけど、この村にはそんなに貨幣は無いんじゃ?」


「あぁ、その通り。儂達ドワーフも必要な物は作っているが、交易には殆ど行かない。生活の主体も狩りや農業になっているしな」


「なら……」


「いや、そう急くな。そこで相談なんだが……出来上がった加工品を街に売りに行くと言うのはどうだ?」


「……街に売りに行く? 私が?」


「そうだ。もちろんその時は刹那一人でという訳ではなく他の者も一緒にだが……どちらにしても冒険者ギルドはこの辺りだとゼダ魔法学園都市まで行かんと無いしな」


「……確かに。そう言う事ならそれでいい」


「そうか、なら決まりだ」


「あ、ちょっと待って!」


「ん?」


「そのリオンでの報酬でいいんだけど、一部は現物での報酬にしてもらいたいんだけど」


「現物?」


「暫くこの村にお世話になる予定だけど……食糧調達の目途が無くて……」


「そうか? 刹那の銃と腕があれば狩りなんて簡単だと思うが?」


「いや……銃の弾に制限があって……今からクレイと開発するんだけど、なるべく節約したくて……」


「それなら、食事は毎日ココで摂るといいよ」

私とゲリオールの会話にそう言って入ってきたのは、この猫ヒゲ亭の女主人のテスだった。


「え? ここで毎日?」


「そうだよ。ビッグホーンの肉や内臓はこっちで引き取るんだ。あの量だから塩漬けや燻製にすると半年くらいは持つし、内臓を乾燥させて薬の材料にするからそれを一緒に街で売って来てくれればそれなりの金額にはなるからね……だから肉代は、半年間食事タダでどう?」


「それでOKです!」

私はテスの提案に即答していた。


「はっはっは。なら決まりだね。ゲリオール、そう言う事でよろしくね」


「分かった。これで商談は成立だ。さぁーみんな飲め飲め~」


……ちょっとがっつき過ぎたかな。余りに魅力的な提案だったからつい……

そんな事を思いながら顔が熱くなるのを感じた。


それにしても交易か……何か冒険者っぽい!

交易品……そう言えば、角は何に加工するのだろう?


「ゲリオール、角は何に使うの?」


「角か? ビッグホーンの角は薄く削ってレイピアや鞭の芯に使うんだ。弾力性が強い割に鉄の様に強靭でその上軽いときた。まさに貴族好みの素材で高値で売れるんだ」


「へ~そんな有能な素材アイテムだったんだ」


「そうさ。ただその分加工が難しくてな……全部仕上げるのに数ヶ月はかかる」


「そう……あともう一つ聞くけど……街までの道はあるの?」


「いや、無いぞ」


「えっ⁉ 無い⁉」


「あぁ、この村自体に他との交流が殆どないからな。ただ、帰らずの森を通る訳にはいかんからその外周に沿って行く事にはなるか……今後の事も考えて、交易路の開拓も目的の一つだ」


交易も簡単には出来ないのか……

そう考えて少し沈みかかっていると


「それなら心配いりませんよ。我らはそのゼダ魔法学園都市からココに来たのですから。ここまでの最短で歩き易い道は熟知しています」

そんな力強い言葉クレイが口にする。


そうだよね。孤立した村でもココに避難して来た人達が居るのだから、一応他と行き来する経路はあるんだよね。

そう考えると気が楽になった。


こうしてその日の宴会は夜遅くまで続いたのだった。


それから半月程は、クレイの火薬の実験に付き合いながら、合間に畑仕事の手伝いと薬草採取に勤しんでいた。


薬草取りと言ってもこの村には薬師が居ない……薬草を採取しても簡単な薬しか作れないのだ。

せっかくいい薬草があるのに……この村に薬師が居れば良いポーションが造れる……


更に、農地の近くの崖では珪石が、更にその奥には石灰層があり、それを元にドワーフ達が良質のガラス細工を作っていた。

クレイのガラス器具はココで作られたモノで、錬金術師の間では頑丈で造りが良いと評判になっていて、以前はわざわざ遠くから買い付けに来ていたらしいけど……

それも戦争でゼダ魔法学園都市が占領される七年前の話で、それ以来ここを訪れる商人は居ないという事だった。


ただ、それらは交易品としては十分魅力的で、森の交易路が出来ればこの村も発展できる可能性が高い。

そう思う様になったのは、ミラとテスの話を聞いてからなんだけど……


「この村は、私やテスのお爺さん達が若い時にユグルド山脈の山間にあったノームの村から引っ越して来て作ったんだよ」


「そうそう。よくお爺ちゃんが話してたな~。もっと昔は更に奥地の森に住んでいたらしいんだけど、噴火で森が無くなって、仕方なく木の少ないその土地に村を造ったって」


「そんな村で育ったお爺さん達八人が、豊かな森で暮らしてみたいと旅に出て見つけたのがココさ。もう一〇〇年くらい前の話だけどね」


「一〇〇年⁉ 四世代位前の話なんじゃ……」


「あ、ノーム族は人より長寿でね、一五〇年位は生きるのさ」


「そうなんだ……でも、この村の老人ってウル翁しか見た事ないけど、ノーム族は外見が変わらないの?」


「「……」」

私のその質問にミラとテスは少し寂しそうな表情を浮かべた。


ああぁ、やってしまった……つい夢中になって考えが至らなかった……

普通ならまず考える可能性は外見が変わらないじゃないはず……そんな非常識は……


「あっ、刹那がそんな顔をしなくていいんだよ」


私の表情に気が付いたミラが少し慌てた様子で言ってくる


「もう二〇年近くになるのかね……この村に病気が蔓延したのは」


「その位経つよね……この村は隔絶されていたから疫病とは無縁だと思っていたんだけど……疫病は何も人だけのモノじゃなかったんだね」


「……動物がこの村に疫病を?」


「そうさ。その時は渡り鳥だったんだけどね……小さい村だからあっという間に広がってね……体力のない老人、そして子供を中心に村の半分の者が死んでしまったのさ」


「半分も⁉」


「あぁ……あの時程この村の小さい事を恨んだ事は無かったよ」


「そうだね……あの時は私と旦那でゼダ魔法学園都市まで『ケルシャ』で駆けに駆けて四日で往復したんだよ。凄いだろ?」


「四日⁉ 帰らずの森を突っ切って⁉」


「そうだよ。レルンの助けも在ったんだけどね」


「まぁそして街の薬師に薬を処方してもらい、村に戻って皆に飲ませたらすぐに回復したんだよ……つまり、そんなに難しい疫病じゃなかったんだよね」


「でもあの時は……いや、今もだけどこの村には薬師も、ポーション屋も無かったから……」


「普通はどんな小さな村でも薬師くらいは居るもんなんだけどね……あの時までの私達はそんな事気にもしてなかったのさ……」


「それで小さな村を……今は備えをしているんですか?」


「もちろんさ。移住してくれる薬師は見つけられなかったけど、幾つかの薬の備蓄と刹那にも手伝ってもらっている薬草があるからね」


「でも、結局はそれらで応急処置をしておいて街に運ぶか医者を呼びに行くかしないといけないから、根本的な解決にはなってないんだけどね」


現世の僻地の問題と同じなんだね……


その時は村を捨てて街に住むと言う意見も出たらしいけど、結局、そのまま村に住み続ける事になりその直後にドワーフ達が移住して来てここまで村が大きくなったという事だった。

因みにゼダ魔法学園都市にここの存在が知れたのもその時だった様だ。


そんな訳で、せめて薬師が来てくれるか、もしくは定期的に商人が訪れる程度の村の規模に発展できればと思う様になったのだ。


薬草を見つけたのはここ十年ほどだと言っていたから、まだ探せば他にも貴重な植物があるかもしれない。その為にもやっぱり専門家が移住してくれないと……


「そう言えば、ゼダ魔法学園都市は今他国の占領下にあるって言ってたし……これはチャンスかも!」


そこでいつの間にか考えた事を声に出していた事に気が付いた。

はっとして慌てて周りを見渡したけど、幸いな事に辺りには人影は無かった。


「良かった~……独り言をぶつぶつ言う変な人と思われる所だった」


そんな独り言を再び呟きながら村外れの通称『岩小人の庭』へと向かう。

そこはその名の通り人の腰ほどの高さの岩の柱が無数に立ち並ぶ変わった場所で、岩の表面にコケが生えているだけの痩せた土地という事もあり村人がわざわざ来る事も無く、さらに動物達の気配も薄い土地だった。


では何故、私が今そんな場所に向かっているかと言うと……

遂にP229用の弾薬の試作品が出来たのだ。

その実射テストの場所が周りに影響の少ない岩小人の庭という訳だ。

そこで、クレイが既に準備をして待っているはずなんだけど、少し遅くなってしまった。


「やっと来ましたね! 遅いですよ、刹那」


「ごめん。防具の採寸に時間が掛かって……」


「まぁ、予測はしていましたけど。ドワーフの職人達はこだわりますからね」


そう、私はここに来る前にドワーフの工房に寄っていた。

そこで以前倒したビッグホーンの骨粉と鉄粉を使って新しい防具を作ってくれると言うのだ。それはセラミックの様なモノで焼成して作る為に後から変更が出来ないという事で事細かにサイズ等を決めていて遅くなってしまったのだ。


「しかし、刹那には丁度いい防具だと思いますよ。あのブレンド製の防具は革並みに軽く、それでいて鉄に匹敵する硬さがありますから、身軽に動き回るのに便利です。かく言う私もブレンド製の防具を発注済です!」


「……錬金術師にそんな防具が必要?」


「当然です! 錬金術師は魔導書での魔法も使いますが、魔導書は盾にも鈍器にもなりますし、それにマジックアイテムを使った戦闘も多いので意外と接近戦になるのです。なので人によってはプレートアーマーを着込む強者もいますよ」


「錬金術師がプレートアーマー⁉ クレイを基準にするととても想像できないけど」


「まぁ、それは特殊な例ですけどね。それでも鉱物や機械を相手にするのでそれなりに力持ちが多いのは事実です」


「そうなんだ……」

そう言って私はクレイをジッと見つめた。


「……オッホン。私は平均の少し下なので変な期待はしないで下さい」


「そんな気がした」


「……。では実験を始めましょうか」


「分かった。それで弾は?」


「こちらです。刹那が来るのが遅かったので、模擬銃での発射テストは済ませてあります」


「それで?」


「特に問題は無い様ですね。弾頭に薬莢、雷管に火薬……全部こちらで作った物ですが刹那が持っているパラ弾と遜色無いと思いますよ」


「そう。ならP229で試してみる」


「的はあちらです。何も書いてない方は革板を重ねてあり威力を、目印の書いてある方は正確さを見ますので、先ずはパラ弾からお願いします」


「分かった」


そう言って私は三〇メートル先の的にダブルハンドでP229を構え、引き金を引く。

辺りに乾いた銃声と火薬の臭いが漂う。

まずは、パラ弾を両方の的に五発ずつ撃ち込んで結果を見る。

革板は三枚、標的は中心部を撃ち抜いていた。


「まぁ、こんなモノかな……」


次は異世界パラ弾である……


『タンッ! タンッ! タンッ!』


……撃った感覚は特に変わらない。落ちた薬莢を拾い上げて確認しても亀裂や変形も無くパラ弾のと同じ感じだ。後は結果の方だけど……


「ふむ……同じですね。全く問題ないと言えます! 実験は成功です!」


「銃弾の完成……良かった。これでまともに戦える……」


これまでは、弾丸の節約の為に射撃訓練も十分に出来なかった……今回の様に動かない的なら問題ないけど、狩りにしろ戦闘にしろ普通は標的は動いているし、私自身も動いているかもしれない……そんな状況での訓練はココに飛ばされる前に数時間行っただけだった。


先のビッグホーンは真っ直ぐ突進して来ると言う幸運に恵まれただけだ……

しかし、これで漸く訓練できる目途がたった。


「後は量産出来れば……」


「そこはゲリオールと相談ですね。安全かつ大型の設備が造れるかどうかです。それより刹那。こちらを試してみる気はありますか?」

そう言ってクレイが腰のカバンから一つの銃弾を取り出して見せる。


「それは?」


「この火薬の弾頭には少し細工がしてありまして……簡単に言えば威力がアップされています。ただし、銃への負担はなるべく軽減する様に工夫した弾なのですがいかがですか?」


威力のアップ……確かに鉄鎧やモンスターの鱗を貫通できる位の威力は欲しい……それらがどの位の硬さかは分からないけど先の事を考えれば威力向上の実験はしておいた方がいい様に思うし……


「……試してみる」


「それは良かった。試射では模擬銃がブレてまともな結果が取れなかったのですよ。少し反動が来ますので気を付けて下さいね」


そう言いながらクレイは笑顔で弾を渡してくる。


「……」

コイツは……そう思いながらも弾をセットして革板を狙う。

そして的の中心部に狙いを定めて引き金を引くと……


『パンッ!』『パンッ!』


パラ弾より少し大き目の音と、そしてこれまた少し大き目の反動が手に伝わる。

覚悟していたからか、それほど反動は気にならなかったがやはり狙いは反れた様だ。正確性を見る的の中心から左上に大分外れて穴が開いていた……

更に威力を見る的の方にも、今までの銃痕と比べると明らかに大きな穴が……

その的をクレイがいそいそと確認する。


「おおぉー。素晴らしい! 五枚抜きですよ! 刹那! 銃の方は大丈夫ですか?」


そう言われてP229を色々確認してみるけど異常はない様だった。

「……大丈夫」


「成功ですね! 魔力パラ弾!」


「魔力パラ弾⁉」


「そうです! 弾頭の方に魔力石を埋め込んでありまして、お渡しする前に魔力の開放をしておいたのです。その結果がこの大きな穴ですね。ここで魔力が弾けて大きな破壊力を生んだのでしょう」


「そんなのを仕込んでたんだ……」


「更に! 火薬の方には爆発ポーションに使う植物のエキスを染み込ませてみました。それにより爆発力が増して銃弾のスピードが上がり、貫通力も上がり五枚抜きを達成したという訳ですね」


「爆発ポーションに使う植物のエキス……ニトロの様な作用があった?」


「そうです。ただ全く同じではないようです。単体では火薬に劣るのは実験済みでしたからね。多分、ニトロとの化学反応なのだと思いますが、少量追加するだけで爆発力が増すのです!」


「……これはもしかすると、ラプアマグナム弾の方も……後は、原材料の確保を何とかしないと」


「それはゲリオールに相談しましょう。元々、私が持っていた原料も彼から貰った物ですし、弾丸を作るにはドワーフ達の技術が必要ですからね」


「そうだね。夕食の時にでも相談してみる」


実験の成功によりようやくこの世界での弾丸供給に光が見えた。これが上手くいけば、本格的に冒険者として動き出せるのだ……

この世界で六年間過ごす事、それが本当の意味で現実味をおびてくる……

弾丸の五〇〇や一〇〇〇発なんて戦闘が続けば簡単に無くなるだろう。その事をずっと不安に思っていたけど希望が見えた。


そんな事を考えていると、自然と村に戻る足取りも軽くなった。

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