3
そこで仲間の1人が割り箸を取り出した。
どうやら番号が書かれているらしく、ペアを組んで行こうと言い出した。
そして引いたら…何故かアタシだけがペアを組む人がいなかった。
それもそのはず。
アタシ達は男4人に女3人。ペアにしようとすれば、必ず誰か1人はあぶれてしまう。
仕方無いので、1番目に行くペアが戻ってきたら、3人で行くということになった。
…別にここで待っていても良いんだけどな。
でもそんなアタシの思いも虚しく、1番目のペアが屋敷の門をくぐり、中に入って行った。
アタシは深く息を吐いて、仲間の中から離れた。
ちょっと周囲を見てくると言って。
周囲は木ばかりで、ここから近くの家まで歩いて30分以上もあるだろう。
…だから屋敷で起こった惨劇の真実は、この屋敷にいた人間以外、誰も分からない。
「本当にその子供だったのかなぁ」
などと呟きながら、屋敷の周りを歩いていると、裏側に小さな社を見つけた。
小走りで近付いてみると、どうやら屋敷とは背中合わせのように建てられている。
だから鳥居も家とは逆方向にあった。
でも…ここでも同じだった。
森の入り口のお地蔵さんと同じで、お供えされた水とおまんじゅうが置いてある。
同一人物がやったことかな?
社も鳥居も年季は入っていたけれど、ボロイというところまではいかなかった。
手入れがされている。
こういう田舎町では、森の中の神様まで大切にしているのか。
そんなことを考えながら、鳥居を潜り、社を覗いて見る。
社の中には、小さなお地蔵さんがいた。
優しく微笑んでいるけれど…どこか薄ら寒く感じるのは何故?
でもとりあえず、何かお供えしたほうが良いのかもしれない。
屋敷の中では、仲間達が肝試しなんかしているし…。
…そう言えば町の中を歩いてて気付いたことだけど、この町には神社やお寺を見つけられなかった。
もしかしたら町外れにあるかもしれないけど、でも電柱や案内板があってもおかしくはないのに…。
不思議に思いながらも、カバンからお菓子をいくつか取り出した。
チョコ、クッキー、アメ、ポテチ…。
おっお供えになるのって、アメぐらい?
でもこのアメ、ジュース味だしなぁ。
本当はお饅頭や金平糖など、ちょっと昔の和菓子も持ってきていた。
けれど仲間達全員に配ってお終い。
手持ちは安っぽい洋菓子しか残っていない。
途方に暮れていたせいか、背後の気配に全く気付かなかった。
―ねぇ、お菓子くれない?
「えっ?」
慌てて振り返ると、2人の少年がいた。
まだ12歳ぐらいだろうか?
1人はニコニコしていて、1人はブスッとしている。
―おねーさん、屋敷にいる人達のお友達?
あっ、もしかしてこの町の子供かな?
ここへ入っていくアタシ達を見かけて、追いかけてきたとか…。
まあ大人達のように、咎めたりはされないだろう。
「えっええ…。どうしてもこのお屋敷で肝試しがしたいと言ってね。アタシはあんまり乗り気じゃないんだけど…」
―でも一緒にいるなら、同罪だ。
ぶすっとしている男の子に言われ、胸にグッサリ言葉の矢が刺さる。
「そっそうね。結局は同じよね…」
シュン…となると、ニコニコ顔の少年がアタシの頭を撫でた。
―ゴメンね。コイツ、口悪くてさ。
いや、キミも結構…。
そう思った時だった。
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