第4話 譜面

それから、夜遅くのことだった。

ポールが、仕事が終わって帰宅し、マンションで一人でワインを飲みながらくつろいでいると・・・

チャイムが鳴った。

そこにはジャンが居た。

「ジャン・・・。どうしたんだ?こんな夜中に・・・?」

「ポール・・・。」

ジャンは黙ってポールに体を預けた。

「俺・・・バンド辞めてきた・・・。」

「えっ!?とにかく中に入って・・・。」

ポールの部屋に入り、扉をバタンと閉めた彼は、今日短く髪を切ってきた、茶色の髪のポールに抱き着いた。

そして言った。

「犯して・・・。俺をメチャメチャにしてくれ・・・。」

ポールは、そんなジャンを可愛いと思い、黙ってキスをした。


「ハアハア・・・。」

ジャンは喘いでいた。

真っ裸にされたジャンは、ポールに犯されるように抱かれていた。

「ああ・・・ポール!もっと・・・もっとだよ!足りない・・・!!」

ジャンは、あられもない姿をして居た。

足を、大股に広げ、腕は手錠をされ、ポールはジャンのアナルに大人のおもちゃを突っ込んだ。

『ブイーン』とそれが回ると、ジャンは涙を流して歓喜の声を出した。

しかし、ポールはそんなジャンを許さなかった。

ポールは、ジャンが歓喜にあえぐ姿を見て、ジャンの顔をあげ、意識朦朧としているジャンに汚い言葉を吐いた。

「こんなに涙とよだれを垂らして・・・。お仕置きだ・・・。」

そう言うと、ポールはジャンに猿轡を嵌めた。

「ポール・・・?何を・・・!?うっ!!」

そして、また、勢いよく、ジャンのアナルを大人のおもちゃで掻きまわした。

ジャンは我慢した。

便意を模様してきたが、今お漏らしをしてしまったらポールに嫌われてしまう。

「うっ・・・ううっ・・・」

ポール。あなたのを頂戴

そう言いたかったが、猿轡が邪魔して言うことが出来なかった。

「うん?ジャン。俺のが欲しいのか?欲しいならそのまま足を広げてしゃがみこめ。」

ポールは言われたとおりにしてしゃがみこみ、大人のおもちゃをアナルに入れたまま、泣きながら腰を動かした。

「いい子だ・・・。」

ポールはそう言うと、ジャンのアナルから、大人のおもちゃを抜くと、堅い自分のものを入れて、上下に動き始めた。

「うう・・・うう・・・っ!!」

ポールがジャンの猿轡を取ってあげると、ジャンがポールに言った。

「ああ・・・好き・・・ポール・・・!もっともっと突いてっ!!」

ジャンがそういうのが早いか、ポールが付くのが早いか・・・ジャンに言いようのない快感が襲ってきた。

「あ・・・はあっ!ああっ!!」


何で、自分は此処まで、ポールに惹かれてしまうのだろう?思えば一人で行ったハプニングバーが最初だった。

ポールの女性も男性も抱いてしまう、あのあられの無い姿だけれども、何とも言えない尖った刃物のような鋭さ。

見て居て興奮してしまった。

1人でオナニーをして居ると、ポールが呼びに来た。

怖がらないで・・・

それが最初だった。

自分がシャイニングレイのベーシスト等気にしない程、あそこの人たちは俺を出迎えて嬉しかった。

思えば俺はジェイニーに嫉妬していたのかも知れない。

一番自分のことを分かってくれるのは、ジェイニーだと思って居たのに・・・。

だから、俺はジェイニーに鋭い嫌な言葉を投げつけ、ジェイニーを怒らせてばかりいた。

興奮した。

あいつが怒る度、暗く成る度、バンドに居られなくなる度、クリスと口論になる度、楽しくて仕方が無かった。

ああ・・・俺はスリルを求めていたんだ・・・。

ジャンが、ポールに抱かれながらそんなことを思って居ると、ポールが察したのか、動きを止めた。

「何を考えて居る・・・ジャン・・・。」

ピタッと腰の動きが止まったせいで、ジャンのオーガズムは中途半端になった。

「ポール?」

「俺と一緒に居る時は俺のことだけを考えろ。それとも・・・抜いてほしいのか・・・?」

「・・・!嫌!嫌!」

ジャンが叫ぶ。

「好きって言って言ったのは・・・嘘なのか?」

ふー・・・と耳元に息を吹きかけるポール。

その仕草に、ゾクゾクっとするジャン。

「嘘じゃない!俺、ポールのことが・・・こんなに苦しいほど好きになるなんて・・・。」

涙を流しながら、ジャンが懇願した。

その姿にポールは、ふうっと溜息をつくと、フッと笑い、再び強くジャンに突いた。

「ああっ!!」

そのまま、ポールはジャンの足を持ち、大股を広げ、アナルに突き続けた。

その度に激しい声を出し、よがるジャン。

そんなことが30分ほど続き、ジャンは果てた後も、まだポールに突かれまくれ、ポールがイッた後は、完全に昇天していた。

ああ・・・壊れていく身も心も・・・心の中でジャンは思った。


それからしばらくして、ジャンとポールが一緒にシャワーを浴びた後。徐にジャンは今日盗んできた『ロサンゼルスの葛藤』の譜面を取り出した。

そして、ポールにそれを見せた。

茶色の長い髪を切ったが、その濡れた髪がセクシーさを醸し出しているポールは、それを取ると「何これ?」と譜面を見た。

社外秘と書いてあった、『ロサンゼルスの葛藤』の譜面と分かった時は、驚いた様にジャンを見た。

「ジャン!これは!?」

「ポール。もう・・・俺バンドには戻れない。だからユナイテッドレコードに雇ってほしいんだ。これはほんの手土産だ。」

ポールはもう一度譜面を読んだ。


なるほど、よくできている。

作詞はエディー。

作曲はジェイニーか・・・。

これを次のファーストシングルにするつもりなのか。

なるほど、よく考えられている。

「確かに手土産には丁度いい・・・。」

ポールは、煙草の赤マルボロを取りながら、読んで居た。

「じゃあ・・・雇ってくれるんだね・・・。」

ポールは煙草をくゆらせる。それから

「そうだな。だけどこれじゃあまだ足りない。」

と、一言言った。

「えっ!?」

「ロサンゼルスの葛藤の本当の譜面が欲しい。そうすればお前をユナイテッドレコードに雇ってやるよ。そう社長に話してみる。」

「・・・コピーじゃなくて、本当の譜面・・・。」

ゴクンと生唾を飲み込むジャン。

でも・・・その譜面が何処にあるかなんてわからない・・・。

「取れなければ、この話はここで終わりだ。」

煙草を吸いながら、ポールがダーツを投げた。

ダーツはボードにサクッと当たると、ポールはジャンの方を見ずにこう言った。

「俺の為に取ってくることが出来るか?」

ポールが言う。

ジャンは、そんなポールの姿を見て、自分が利用されているのではないか?と思ったが、やはり惚れた弱みがあるせいか、何も言うことが出来なかった。

「でも・・・その譜面が何処にあるかなんて、分からないよ・・・。」

「まあ・・・それも一理あるな・・・。」

ポールが呟く。

「とりあえず明日、社長と掛け合ってみる。ジャン。お前も疲れただろう。しばらく此処に居ると良い。これは俺がもらっておく。」

そう言うと、ポールは譜面を黒いビジネスバック閉った。

これで完全に俺は、シャイニングレイを、クリスを裏切ったことになる・・・。

後ろめたさもあったが、ポールの心は何かがスッと外れたような気がした。

これで彼と一緒の会社で働けるようになる。

給料は少なくなるかもしれないが、ポールが傍にいてくれる。

そう思うと、ジャンは心の中で小躍りを踊っていた。

しかし、それにはコピーでは無くて、本当の譜面が必要なんだ。

それを持っているのは、誰だ。

プロデューサーのルクスか。

それともバンドのリーダーのクリスか。

この後、ジャンは犯罪に手を染めることになる。




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