第3話 パターン

双子の姉?

ますますわからん。


どこかで、生き別れた?

そんな話は聞いていない。


幼い頃に養子に出された?

可能性がこれが高いが・・・

いや、違う・・・


「わからない?」

「はい」

「降参?」

「します」

「よろしい・・・」

ますます疲れる・・・


神様、何がお望みだ?


「まず君が生まれた日、実はもう1人、同じ母親から女の子が生まれました」

「双子ぅて言ってましたからね」

「うん、でもその子は未熟児で、すぐに亡くなりました」

「ええ」

「ええって、落ち着いてるね」

「さっきまで、さんざん驚きましたので・・・」

女の子は続けた。


「君のご両親は、悲しみのあまり、毎日泣きました」

「ええ、子供が泣いたら、親は泣きますね」

「だから、さっき見たいに驚いてよ」

「ですから、もう疲れて気力がありません」

女の子は続けた。


「そこで、私の事は忘れて、残った男の子、つまり君を育てる事にしました」

「はい」

「君にご両親は、事前の男女の双子というのは、わかっていました」

「ええ」

「で、女の子には一美、男の子には正(ただし)と、名付ける予定でした」

「それで」

「でも、残ったのは、君ひとり。なので、君にふたりの名前を合わせた、正一にしたのです」

「終わりました?」

女の子は、複雑そうだ。


「疲れた?」

「はい」

「訊かないの?」

「何をですか?」

「どうして、私がここにいるのかを」

「この世の事が見たくて、あの世からやってきた・・・ですねえ」

「正解」

よかった、これで眠ることができる。


もう、ご飯はいいや。


「安心して、この世界の事は、全てあの世でも学んでるから、教わる事はないわ」

「だから、ペラペラなんですね」

「うん」


結局、朝まで眠れなかった・・・


でも、会社は休めない・・・

もつかな・・・俺・・・





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る