第5話 「こどものころとはおおちがい!」

さてさて、時間は朝6時半。

そろそろ弟を起こさないと、学校に遅刻してしまう・・・。

でも、ひろとにはばれないようにそろーっと、

抜き足、差し足、忍び足・・・。


さて、ひろとの部屋の前まで着きました・・・。

ここからは一気に・・・


ガチャッ

「おりゃー!おはよー!!!ひろと!!!!!」

「え!?え!?なに!?!?」

「おお、見事に起きたwおはよ!」

「うん・・・おはよ・・・。」


あれ!?なんで元気ないの!?!?


「っていうか気持ち悪いから早く降りて」

「あ、はい。・・・私重い?」

「うん」


ああ、私が乗ってたから機嫌悪かったのか。

ってかこいつ、いつの間に正直なやつになったんだ・・・。


「それはそうと、ご飯できてるよ」

「今行くー」


リビングで待ってるとゆっくりと寝グセがついたままのひろとが降りてきた。


「おはよ。姉さん」


そう!最近はもっぱら「姉さん」って呼ぶようになった!

・・・私的には「おねーちゃん」がいいのだが。


「ほら、早くしないと遅刻するよ!」

「あーもうわかったって。うるさいな。」


はぁ、何言ってもこんな感じの返しをされるんだよなぁ。


「「いってきまーす」」


二人一緒に家は出るけど途中まで歩けばお互い友達と歩く。

そこまでの会話はほとんどなし。もっとひろとにかまってもらいたいなぁ。


「さくら最近どうしたの?元気なくない?」

「あかりー!聞いてよ!最近全然ひろとがかまってくれないの!」

「はぁ・・・。さくらってさ、そういうとこ昔から変わらないよねw」

「どういうとこ!?」

「弟くん大好きなとこ」


あーもうなんでそういうことあかりはいつも言うかな!余計に恥ずかしくなっちゃうじゃん!


「試しにさ、弟離れしてみたら?」

「え、絶対できないよ!私ひろと好きだもん!」

「だーかーらー!そういうところあるから余計に弟くんに嫌われるんだよ!」

「そうなのか・・・。」


初めて知った。私がこんなにひろとのことを考えてるからひろとが冷たくなったのか・・・。


「わかった!私ちょっと弟離れしてみる!」

「そうそう!少しずつでいいから!それでもし弟くんが話すようになればその距離感がちょうどいいってことだよ!」

「だね!」


私は決めた!弟離れする!

そう言って私は学校へ行き、授業を受け、部活をして帰ってきた。

授業を受けてる間もひろとのことが思い浮かんだけど、必死で打ち消した。


そう。私は、ひろとともっと話すために弟離れする!


「ただいまー」

「おかえりー!さくら遅かったわね!ご飯できてるよー!」

「はーい!」


そう言ってリビングに行くともうひろとがいた。


「ただいま」

「おかえり」


私はそれだけの会話をして食卓に座った。

お母さんは少しだけ不思議そうな顔をしてたけど、いつもみたいな笑顔にすぐ戻ってご飯を用意していた。


「ただいまー」

「あ、お父さんおかえりー」「おかえりー」

「おう、もう帰ってたのか。」「うん」


なんかあれだな、ひろとと喋らなくなるとお父さんとかお母さんとかとも喋らなくなるなぁ。

でもお父さんとかお母さんとかとだけ話しててもなぁ、絶対不思議がるし・・・。

どうしたものか・・・。


なんて考えてたらご飯が出てきた。今日のご飯はカレーだ。


「「「「いただきまーす」」」」


ひろとが急いで食べる姿を見て、「ああ、ひろとは全然変わらないな」って思ってちょっと嬉しかった。

最近家族の会話が減った気がする。

いや、喋ってないわけではない。ただ、みんなの口数は昔と比べて減ってきた。

そのかわりに何が増えたか。テレビだ。最近家族でテレビを見ながら食べている。


お笑い芸人が体張るやつ見てみんなでクスクス笑ったり、健康をテーマにしたやつ見ながらみんなで「へぇー」って言ってたり。

そんな感じに減った。でも、不思議と楽しい。

ひろととの距離感もこれぐらいでいいんじゃないかな。っても思い始めてしまった。


ある程度テレビを見たら私は自分の部屋に行った。

さあ、このあとは勉強だ!



っと、気づいたらもう11時、早くお風呂入って寝よーっと!

お風呂も全然入ってくれなくなったなぁ。

まあ、当たり前かw


お風呂入るとやっぱり癒やされるよねw

そういえばもうひろと入ってたな・・・。


・・・ひろとの残り湯か。フフッ


おっといけない、今日私お風呂最後だった。


お風呂で疲れを癒やして、お風呂から上がったら体と髪を拭いて、パジャマに着替えて・・・。

前は弟がずっといたんだけどな・・・。


あぁ!ひろとのことが忘れられない!どうしても思い浮かんじゃう!

あ、そうだ、あかりに電話してみよ!


「もしもし?あかり?」

「さくらー?どしたー?」

「いや、あの、どうしてもひろとのことが思い浮かんじゃって・・・。」

「そっか。でもさ、そこをどうにか乗り越えないと絶対に今のような冷えた状態続くよ?」

「そうだよね・・・。」「うん」

「よし!私頑張る!だからさ、あかり!今よりもっと私と仲良くなって!」

「おう!その意気だよ!私も協力してあげる!」

「ありがと!おやすみ!」

「はーい!おやすみ!」


そういって電話を切った。

そうだよね!私、ひろとと仲良くなるためにやってるんだもん!頑張らなくちゃ!


そう自分に言い聞かせ布団をかぶった。

「おやすみ。」

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