前のエピソード――３月２７日（土）広島市東区東蟹屋町にある東区民文化センター・ホールで「アーサー・ビナードが語る紙芝居『ちっちゃいこえ』＆ヒロシマのこころコンサート」を観る。

広島市中区新天地にある立ち呑み店「スタンドローキー」で飲んで食べる。

夕飯にスープを飲み、ドトールでチョコクッキーを食べても、腹は一杯にはならない。

どこかですこしポテサラを食べることはできないかと考えれば、思いつくのは最近SNSで頻繁に見る「スタンドローキー」さんだ。この店がどこにあるか調べる前に歩いていて居場所を知り、こんな好条件の場所にあるのかと思った。休日の動線のど真ん中にあり、気軽に寄れて良心的な価格で美味しそうな酒と料理を食べることができる。そんなうまい話はなかなかあるわけがない。

しかし初めて行ってみれば、噂は時にその話以上の実体験をもたらす。この日はヒラメの刺身とジャガバターに、たかちよの濁りと華鳩の汐の光だけだが、この場所でこの心安さ、値段、好みと質は、まさにストライクだ。

とある人が知り合いだらけと言い、家内も同様のことを口にしている通り、どの場所で見たか覚えている人たちが楽しそうに話をしている。ただしそんな身内だけに限定された閉塞感はまったくなく、人の良い店主さんの雰囲気だろう、一見さんである自分が無言で飲みつき、パクついていても、なんら気兼ねするところがない。どこの店に行っても初めてならば多少緊張感はあるものだが、不思議なことにそれがない。それはきっと店主さんの人柄が店を包んでいるからだろう。

流行りものは追わないと言いながら、どことなく寄ってしまうところが弱いところだ。しかしそれは良いもので、良いところは良いと、噂が時に信頼以上の発見をもたらしてくれる。今夜の飲み食い時間も量もわずかだが、どストライクだ。