3月12日(金) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでジャン=ピエール・メルヴィル監督の「いぬ」を観る。
広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでジャン=ピエール・メルヴィル監督の「いぬ」を観る。
1962年 フランス、イタリア 109分 白黒 Blu-ray
監督・脚色:ジャン=ピエール・メルヴィル
原作:ピエール・ルズー
撮影:ニコラ・エイエ
美術:ダニエル・ギュレ
音楽:ポール・ミスラキ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、セルジュ・レジアニ、ジャン・ドザイー、ミシェル・ピコリ、モニーク・エネシー、ファビエンヌ・ダリ、カール・ステューダー
ミシェル・ピコリ特集が始まった今日の映画は、どこかで聞いたことのある作品名だと思っていた。ジャン=ピエール・メルヴィル監督は前にも特集が組まれていたので知っていたのが、その時に観ていない作品だと思って足を運んだ。
退勤後に雨の中を歩き15分遅れて入場すると、分厚いトレンチコートを着る若かりしジャン=ポール・ベルモンドの姿を見て、これは以前観た作品と疑うようになった。たしか前回も遅れて入場したようで、二人の男が話し合っているところにとある女が登場し、そのあと縛り付けられる場面に驚いた。やはり観ていたらしい。
しかしそれからの展開が覚えておらず、本当に観たのだろうかと考えながら眠ってしまった。キーワードだけでなく構図を把握させる会話が多いので、冒頭のシーンを見逃してしまうと事件のつながりが不明瞭なまま過ごすことになり、その間に寝落ちしてしまったのを思い出した。
そして緊迫した強奪のシーンからの内容はおぼろげながら覚えていた。ただし完全に先を読むのではなく、後付けのようにシーンを重ねる形だった。
思い返せば3年前に観ていたらしく、その時の特集では「モラン神父」や「海の沈黙」に好ましい印象を覚えていたので、「いぬ」はどうやら忘れていたらしい。あらためて観て思うのは、人は忘れていく生き物であって、鑑賞を重ねたからといって必ずしも成長していくわけではないということだ。実際新たな発見らしい感慨は浮かばず、パンショットと長回しでめまぐるしく追っていくカメラワークなど、演技を観るよりも字幕に集中力が奪われてしまい、また登場人物に目を当てても人種の違いによる文法表現の差異を味わうばかりだった。
それでもこの映画は雰囲気がある。種明かしがやや親切ではあるが、ハードボイルドな衣装だけでなく、上目使いも含めた愛とニヒルのある淡々とした表情などは男の世界が芬々としている。ただし自分は「モラン神父」がとても好きだったと、再度異なる作風をメルヴィル監督に確認して、それほど多く登場していなかった今回の特集となるミシェル・ピコリを頭に置いた。
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