前のエピソード――３月５日（金）広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで五所平之助監督の「からたち日記」を観る。

広島市中区十日市町にあるカフェ「tsuyu coffee」でモーニングセットを食べる。

朝の動き出しは遅くないのだが、割り方とろとろしている。それでも今朝は昨夜にピザを我慢した分だけ時間があり、洗濯物を回して身支度を整え、マンションの下にやってきた。

店内は予約があるということで、外のテラス席に座らせてもらう。見慣れた違う箇所に座ると意外な日常の顔が見えるのは「tsuyu coffee」さんに来ると毎度思うことで、路面が湿って若干朝露を感じる太陽と小鳥のさえずりに触れると、街中ながら朝の自然が息づいていることが知れる。朝は風がすこしばかり冷たくても、空気は春の潮目のさなかにあるので、芽を出し始めている家の観葉植物もベランダのブルーベリーも公園の柳と同様に呼応している。

これは空鞘公園のベンチに座ると同義だろうか。コーンポタージュはオイルが空気みたいに柔らかく、クミンシードがフルーティーにさえ感じる美味しさだ。トーストとジンジャーバターは言うまでもない優しさで、コスタリカは研ぎ澄まされた中深の味で、抜群に美味しい。

スズメ、ヒヨドリ、ムクドリが遊び騒ぐ公園は、なぜか今は鳩がいない。のんきな声を抜きにして、ちょっと気になる方に目を向ければ、端正な色合いのシジュウカラが梢でのんびりしている。

他の公園近くのサンドウィッチ屋さんでもよく見かける人に朝の挨拶を交わし、まだまだ早い初春にふさわしい「tsuyu coffee」さんとのモーニングになった。