2月27日(土) 広島市中区十日市町にあるピザ店「ARIETTA VERDE」でヴェルデランチを食べる。

広島市中区十日市町にあるピザ店「ARIETTA VERDE」でヴェルデランチを食べる。


昨日観た劇に癇癪持ちの人物が登場したのとは異なり、今日の自分は瞬間の沸騰によって怒った。それも自分のミスを棚に上げてのことだから、周りからすると甚だ気分の悪いものだ。元気がなければそうもならないのに、酒も飲まずに夜深くなる前に眠りにつき、寝坊までしたせいで活力は宿っている。


涙はストレスの発露のようなことをラジオの放送で曲解したあと、土曜出勤の午後に代休を取るとはいえ、もはや探訪ではなく再訪となっている十日市エリアのランチへ行った。


こんな日はピザが食べたい。自粛要請によって休まれていた「ARIETTA VERDE」さんをのぞいてみると、窓が顔を開けていた。


わりにひさしぶりの再訪となったので、注文方法がわからなくなっている。土曜日なのに平日のランチはあるか訊くと、ないらしいので、ヴェルデランチのピザを選ぶ。


人参の繊細なサラダは粒マスタードの酸味と甘さがマイルドながらやや白っぽい味も混ざって、以前口にしたのとはドレッシングが違うようで、おいしさを再確認する。


メランツァーネは季節外れかもしれないが、外はやや肌寒くても気分だけ煮え返ってぼっとする頭には、トマトやナスの明るさが必要になる。前よりも美味しくなっていると思うのは客の勝手な思い上がりにしても、塩味と香ばしさがぼやけない生地は間違いなく美味しく、澄んでふくよかなオリーブオイルをたっぷり含んだナスは地中海地域の染みとなっており、モッツァレッラのコクと一緒に、やや炭水化物らしく思わせる質量を持ったコクのパルミジャーノがうまい具合に焼かれている。トマトソースの甘さは大柄の女性が持つ健やかな甘さで、オレガノとアンチョビがほどよく風味に複雑さを与えていて、すべて一緒に包み込んで口にして噛むと、汁がたっぷり噛みごたえのある生地に支えられて、豪華に溶け合っていく。


そして食後はエスプレッソを飲む。旅行中はこればかり飲んでいたが、今となってはほとんど飲むことのなくなったコーヒーによって、蒸留酒はエスプレッソ、醸造酒はハンドドリップ、などの等式を頭に浮かべる。


再開したことが喜ばしい。時にピザを食べたくなる気分があり、そんな時は「ARIETTA VERDE」さんで満足させてもらっている。その通りここは手頃で美味しく、スタッフさんたちの心配りと記憶力も変わらない良さがある。

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