前のエピソード――１月１５日（金）広島市西区天満町にある蕎麦店「手打出雲そばいいづか」で三味そばを食べる。

広島市中区十日市町にあるイタリア料理店「大衆イタリアン酒場ブチャラティ」でパスタランチを食べる。

土曜の十日市探訪のランチで足を入れたのは、すこしずるい店の名だと思う。地元の同じ中学のとある男は、この店名の人物が登場する漫画のなかで最も好きだと熱く述べていた。ものすごく細い青剃りの眉毛で尾崎豊をカラオケで熱唱しては、５分座って目の前に水たまりができるほど歯の隙間から唾を吐いていたとおり、ギターが上手いロック好きだった。

昨今どこへ行っても話題は似ているので、チャックに閉じてしまえれば。楽しい話をすればいいのに、無理矢理でも、というように自分もつい愚痴が頭に浮かぶほど、状態が弱まれば愚痴はたやすく愚痴を派生させる。

パープル・ヘイズをスタンド名に持つ男の方が好ましかった。発動は少なく出番も多くないが、優男具合がなんとなくよかった。

ちなみにアメリカ横断ならば、雨粒に足を乗せてやってくるキャッチ・ザ・レインボーが大好きだった。レインコートの裾の長さとなよなよした言動だが、歯は頑健で、深紫のキーボード奏者と名前が一致する。

もしかしたらパープルが好きなのかもしれない。軟弱な人物を好むからこそ、最近は食べ方が雑になって憧れている。などと具も大盛りのキノコとベーコンのトマトスパゲティを食べながら考える。

わたしはトマトになりたい。からっとした血の気が欲しい。手頃な価格でとても満足なランチだ。