12月14日(月) 広島市中区本川町にある本屋「READAN DEAT」で「石黒亜矢子『九つの星』原画展」を観る。
広島市中区本川町にある本屋「READAN DEAT」で「石黒亜矢子『九つの星』原画展」を観る。
ポストカードの表紙がすこしグロテスクな「石黒亜矢子『九つの星』原画展」を観に行った。
丸や四角の額におさめられた原画は広くない展示スペースに小さな冒険譚を生んでいた。芯のある線が肉厚の世界を描き出し、行間とフォントの優しい文章がストーリーを物語り、散りばめられた星を探す旅へと観る者を案内してくれる。
線が生み出す雰囲気は手塚治虫さんを代表とする時代らしく、細くも太い線が細かい陰影を隙間なく刻み、迫力ある想像世界となっている。棘藪の埋もれや草原の疾走に海中での息の潜みなど、半年前に読んだ長塚圭史さんの戯曲『音のいない世界で』を思い出すような寓意を感じながら、子供の時に熱中した「ロマンシング サ・ガ」のような冒険に情感は運ばれていた。
絵本の原画といって甘くみてはいけない。数日前に観たさこももみさんの作品でも、津和野で観た安野光雅さんでも同じこと、多くをプリントして世界に散らす生みの親らしく、作品の持つ生彩と生命力は力強い。
近くに置いてあった猫のコミックはこの作品と絵柄はずいぶんと異なり、いろいろな引き出しがあるのも絵本作家の特徴だろう。頭にちょっと養分を与えるには栄養過多になってしまうほど、イメージが生み出す童話の世界は小さな箱庭のようなギャラリーで穏やかに待っている。
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