12月6日(日) 広島市中区小町にあるカフェ「café citron」で季節の選べるお昼ごはんを食べる。
広島市中区小町にあるカフェ「café citron」で季節の選べるお昼ごはんを食べる。
南区民文化センターからの帰り、適当なところでランチをとろうとふらふら自転車をこいでいたら、「café citron」に入った。
広島に越してきた当時にこの店を探しに来たことがあった。「OBSCURA COFFEE ROASTERS」が発刊しているガイドマップを見たのか、うろ覚えの記憶では、妻のアルバイト先となりそうなカフェを調べに来たような気がするものの、どうも違う気がする。もはや遠い昔だ。
女性客で一杯の店内だったがタイミング良くカウンター席が空いており、男一人座ることができた。大鉢一つと小鉢二つを指差す季節の選べるお昼ごはんにして、蓮根のハンバーグに、タラの黒酢あんかけと、エビとブロッコリーのチリマヨネーズ和え、それに食後はコーヒーにデザートセットのカボチャとココナッツのケーキを用意してもらう。
ごはんの量は少ないが、一品一品にカフェらしい手抜きのない味がある。高い食材は扱えないが良い物は揃っているので、薄切りの素揚げのレンコンの食感やハンバーグにかかるすりおろし和風タマネギソースなどに手間が見え、黒酢は控えめに豊かな酸味と甘みが盛り上がるように仕上がり、フリットな衣のエビも丸く穏やかだ。どれも丁寧に食材を調理したおいしいごはんだ。
深煎りでないコーヒーも澄んで味わい深く、ココナッツの風味は後に広がるわずかな色づけ程度としてカボチャのクリームは重くならずになめらかだ。
たまたま自分の隣に20代らしい女性二人が座り、メニュー表とにらめっこしている。言語は英語で、スマホをかざして料理の内容を調べている。自分はイスに座って20秒で注文は決まるが、彼女たちは何を悩むのだろうか、10分近く迷っている。
その間に「Can I help you? I can translate these.」なんて頭に浮かぶが、それほど困ってはいないようだったので声はかけなかった。出しゃばりはよくないし、差し出がましい真似は鼻につくだろう。そもそも、迷う時間に意味があるかもしれない。
もちろん英語は流暢にしゃべれないが、これはこれ、あれはあれくらいは伝えられる。はばかるところはあり、若い女性二人組だから声をかけたい気持ちもあるが、結局話しかけない。夢と妄想が先走って現実は静かにあるのが日常だ。
どこから来たのだろう。ふとそんなことを考え、海外の人と交流してあたふたと英単語をつなぎ合わせ、それができずに無意識に頭をばしばし叩くやりとりもしたいものだと、旅行後に越してきた当時の生活を思い出した昼ごはんとなった。
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