9月22日(火) 広島市中区上八丁堀にあるギャラリーGで「個展 藤野陽平 目の前の風景」を観る。

広島市中区上八丁堀にあるギャラリーGで「個展 藤野陽平 目の前の風景」を観る。


演劇が活発に戻ってきたらどうなってしまうのだろう。そんなことを考えるほど最近はギャラリーを訪れる予定を入れている。とはいえ、1時間もいないたかだか10分ほどの滞在になるので、それほど問題にはならないだろう。


ギャラリーGに入ると、太い筆跡の一見すると雑然とした作品が目に入る。解説を読むと、それだけで忌憚ない人柄で物事をおおらかにとらえる人物と考えてしまう。そんなのはまったくあてにならないが、厳格な写実の要素なく、実景から自身の感覚でつかみとって描写しているように映る。そんなのはまったくあてにならないが、自分の好みとして2作品以外は色彩のバランスと色の効果にやや曇るような感じを受けたり、曖昧に見えたりして、作品から発せられる何かしら生彩ある効果が感じにくかった。


ただ1階にある「アトリエ」という作品は輪郭の区分がわりにはっきりとしていて、色の効果が分散されているのもあるからだろう、色彩が命をもって配置され、構図とバランスにはカンディンスキーやミロの作品がもつ図形と形態の原初的で数学的な連関があるように思えた。いわば、色と形がそれぞれお喋りしているような感じだろう。「デート」という作品には、マニエリスムと言ってよいのかわからないが、ユトリロのようなアンバランスでゆがんた物象があり、ただしそこには精神の歪みよりも物質の持つ生き生きとした存在感があるようで、桜らしい花や青空との関係もあるかもしれないが、決して悩ましさから生まれた作品には見えず、有機曲線のタイルの碁盤目には自然な柔らかさが浮き出ていた。


そんな風に思った藤野陽平さんの個展だった。

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