前のエピソード――９月２２日（火）広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでアルベルト・セラ監督の「リベルテ」を観る。

広島市中区上八丁堀にあるカフェ「SUZU CAFEグランドタワー店」でコーヒーを飲む。

「名代富士そば」くらい手軽に食べられる蕎麦屋でかけそばを食べたが、足りないのでギャラリー近くのカフェに入ってタルトレットを注文した。

蕎麦屋でもそうだったが、人々の動きが活発な連休にあって飲食店の従業員数が足りないというか、忙しい店が多かった。

ここのカフェも広さと席数を考えると、四人客が二組か三組同時に入ればどうしても渋滞が起きてしまう。人の流れが戻ってきたのは喜ばしいことだからこそ、気軽に待たずに入れる店が少し減ってしまったと感じるのは、自分都合の考え方だから捨てなければいけない。

それでもたっぷりカスタードとキャラメリゼしたバナナのタルトレットとコーヒーはそれほど待たずに運ばれる。描かれたソースをフォークですくってなめると、それぞれキャラメルとチョコの味がする。もちろん見た目通りの味になるが、昨日食べたパテにかかっていた甘酸っぱいソースが美味しく、プルーンなどが原料の手作りだと思ったらバルサミコ酢を煮詰めての既製品らしく、まったく自分の舌はいい加減で、頭ばっかりスノッブにいるから信用できないと思った。しかし、間違えるのも個性的な感覚の一つだと言い訳できないこともない。肝心なのは、偉そうに知ったかぶらないことだが、それが得意とあっては困りものだ。

そんなことを思いながら、バナナに飴色の円盤がくっついたタルトレットを食べ終えて、コーヒーを少しずつ飲む。時には間違いもあるさとひとりごつも、昨日は人名も間違えて口にしていた。思えば間違いばかりの人生だったと、無事ならまだ先のある人生も間違えていくだろうと、さらに失敗を重ねていこうと責任を放棄したくなってしまう。