6月24日(水) 広島市中区堺町にある日本料理店「野趣 拓」の鯖煮弁当と金目鯛の鯖煮弁当を食べる。

広島市中区堺町にある日本料理店「野趣 拓」の鯖の煮付け弁当と金目鯛の煮付け弁当を食べる。


平日の昼の弁当は親密な関係であって、現在食べさせてもらっている「ベック」の前は「しゅん」だったが、食べ代えるのに気兼ねした。コロナの影響で休業しなければ、今でも「しゅん」の弁当を食べていただろうから、どんなきっかけで相手が変わるかは、ついつい人間関係に例えたくなってしまう。


今日は「ベック」の肉じゃが弁当を2個買う予定でいたが、突然「野趣 拓」さんの弁当を買うという連絡があったので、複雑な気持ちになった。前々から「野趣 拓」さんの弁当を買いたいと言っていた妻の要求に、それを叶えるちょうどよいタイミング、買ってきてくれる足労、食べてみたい自分の欲求に加えて、予定していた肉じゃがの喪失、必ず平日に買いに行くことを休む皆勤の穴、予定を狂わされたことへの自尊心のささいな痛手、急な計画変更に対する柔軟性、予定を貫通する頑固な意思などなど、昼の弁当に対して様々な思念がぶつかりあった。とはいえ、答えは最初から決まっていて、もちろん断るはずはない。


そんなわけで今日は弁当を買わずに家に戻った。前回食べたテイクアウトは巷に現れだした春だったので、木の芽やコゴミなどの自然の風味を持った鮮烈な味わいが印象的だったが、今日は鯖と金目鯛の煮付け弁当となり、まろやかな味となっていた。昼の弁当という位置づけに、感染症の慌ただしさも少し落ち着いて慣れたのもあるかもしれないと解釈するような肩の力が抜けた味で、しかと味わおうと意気込んでいた自分は、なんだか気が抜けてしまった。


こんな感想は間違いなく間違っているのだろう。味わいの違うそれぞれの魚の煮汁も飲み干し、場面によってそれぞれの料理があるのに、それだけで全体をつかんだような気がしていると、どこかの居酒屋のランチを思い出した。


本当は昨晩食べに行く予定を立てていたが、予約は一杯だったので行けなかった。映画を観る習慣の始まった自分の予定と合わせると、訪れることのできるのは7月の中旬になるらしい。


予定は未定、そんな口癖のあった同級生を思いだし、行けたらいいやで楽しみつつ忘れることにする。

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