6月24日(水) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでヴィルジル・ヴェルニエ監督の「ソフィア・アンティポリス」を観る。
広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでヴィルジル・ヴェルニエ監督の「ソフィア・アンティポリス」を観る。
2018年 98分 カラー Blu-ray 日本語字幕
監督:ヴィルジル・ヴェルニエ
出演:ドゥイ・キュネツ、ユーグ・ンジバ=ムクナ、サンドラ・ポワトゥ
510円だとフィルム、380円だとデジタル、入場券の価格で作品の上映形態を知れるのだが、今日は安いほうなのに、太陽が強すぎて鮮明になるのではなく、ハレーションではないが、すこしぼやけて古いレンズのような色合いを持っていた。
群像というのか、主人公の定まらないこの作品は、ドキュメンタリーなのか、ノンフクションなのか、それともフィクションなのか、まるでわからなかった。関連のつかめないまま被写体が入れ替わり、動きはまるで演技らしくないのだが、カメラワークはそれらしいところがあり、謎という感想が正直なところだ。
映画作品らしく切り取った構図の美しさや、創作物語らしい編集の作為が感じられず、やはりドキュメンタリーらしい実際の生生しさがところどころにあり、全身に火傷を負った男性や、護身稽古らしい手加減のない口と体によるこうげきなどは、おぞましいほどの暴力性があり、どこかで拉致してきた女性達をガレージに運ぶ際のシークエンスは、撮影中に事件を目撃したような見たくないこの世の暗部を突きつけられるようで、人体の皮膚にメスを入れるのを見るように痛感した。
上映後に作品情報を読むと、どうやらドキュメンタリーではなさそうだ。それでも、この映画の主題としてあるもの、そして仮にあるのならば、訴えかけようとしているものが何かはすぐに判然としない。おそらく、もうすこし時間が経って、明日あたりに関連が結びついて、それらしい概念を自分の中に構築するのだろうか。
ドキュメンタリーではないと知っても、あの素人のような登場人物達の実像から話された言葉や、各場面は、森を歩いて獣を映す自然な足取りが感じられる。卵の黄身のように海上に生まれる太陽、絞りによって明滅する太陽、パンショットで背景を赤く染める太陽など、根源は幾度も映され、世界の変化とソフィア・アンティポリスという場所の対比は定規や計算で計るような理屈を無意味に思わせるが、どうも解せない作品内容の中で、ただ一つだけはっきりしているのは、人物の喪失、消失、そして焼失だ。
太陽が燃えている。それだけがこの映画でわかったことだ。
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