6月7日(日) 広島市中区中町にある和食店「はせべ」で飲んで食べる。

広島市中区中町にある和食店「はせべ」で飲んで食べる。


映画を観終わった後に、「肉のますゐ」でサービストンカツを食べてから、「オブスキュラコーヒーロースターズ」で本日のコーヒーを飲んでいると、妻からメール連絡があったらしく、電話すると「はせべ」さんにいるとのこと。ちょうどこれからどこかで酒を飲もうとしていたので、店に行こうと場所を尋ねると、話が噛み合わない。本通から、南北、目印の店、などなど、頭の弱っていた時間帯ということもあり、「こけもも」でどうにか判断がついた。


先々月になるだろうか、コロナウィルスの影響でテイクアウト営業が始まりだした頃に初めて食べて、とらえどころのない味に自分の知らない味覚を体感した。奥ゆかしいといえば間違った感想になるのだろうが、味が見えずに奥がどこまでもあるような実感により、そんな形容をしてしまう。


看板で見つけて階段をあがると、夕刻の光が店内に電球色を射し込んでいて、窓の開いた店内は夜に飲むのと異なる、いわば夏の西洋の日の長いバルで落ち着くようないつまでも続く明るさがあり、からっとした雰囲気が良かった。


漬けもの、豆の汁、自家製納豆、ようちゃんいか、牡蠣の塩辛に煎った大豆を肴に、冷酒と燗酒で時間を過ごす。テイクアウトで感じたような酢の味はあったが発酵食品が主だったので、もしそれ以外の料理を食べたならば、だし巻き玉子で感じたような一面どころか、奥のある様々な側面を見ただろう。


とにかく美味しく、楽しく過ごせた。大将は多くのお客さんを相手にしているだろうが、自分のような客はこのような向かい合いがとても珍しく、カウンターで誰かと食事する喜びをひさしぶりに味わった。


とくに、女性特有の勘の良さと、男性からすると心配しすぎると思われる配慮も、母性という誰かを守る立場から生まれるだろうという話には納得がいった。


発酵の見極めはいわずもがなとして、作り手の深みの一端を味わい、豪快と繊細を併せ持つのだろうかと考える。とはいえ、一度食べに行っただけで何がわかるだろう。わからないが、豆の汁の旨味の桁には驚き、納豆を包む柚子の風味の口あたりの塩梅は細かい手際があった。


テイクアウトを食した時の素朴な疑問はまるでわからず、これからも気になるのだろうが、すべてがとてもおいしかった。

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