前のエピソード――４月２６日（日）広島市中区白島九軒町にある公園「白潮公園」のベンチに座る。

広島市中区東白島町にあるお好み焼き店「力丸」の肉玉そばのテイクアウトを買う。

最近はテイクアウトのできる店が増えているので、飲食店の死活問題は深刻ではあるものの、手軽に夕食を買って帰れるのは消費者にとって便利な時節でもある。こういう見方は不謹慎なほど一面的ではあるが、買わずに文句をいうわけではなく、買って帰るのだから口は別にしても、それほど悪い行動はしていないだろう。

女性が店の前に立って呼びかけていた。特にお好み焼きを買おうと思っていたわけではないので、自転車に乗っていた自分は声をかけられたが頭をさげて通り過ぎた。すぐ近くには持ち帰りの寿司屋があり、そこに客は集まっているにしても、お好み焼き店はそうでなかった。ふと引き返したのは、持ち帰り専門店は強いから、女性が声をかけてくれたから、値段が安いから、その三点だろう。

実際家に帰って食べてみると、日頃ユアーズで食べるよりも安いわりに、べちゃっとせずにイカの風味がなぜか麺から感じられた。肉玉そばだからイカ天は入っていないのだが、太めの麺がしっかり味の存在感を持っておいしく、ユアーズよりもさらっといただくことができた。

何だって店で食べるのが一番おいしいとはいえ、テイクアウトでも店の個性を知ることができる。それは最近というよりも、毎度思い知らされることだ。

なかなか店に行く機会はないだろうが、傍を通った時は、そういえばテイクアウトで食べたなぁ、という、グーグルマップの星印よりもたしかでない記憶で思い出すだろう。