1月19日(日) 呉市本通にある冷麺料理店「珍来軒」で呉冷麺とちまき、チャーシュー肉まんを食べる。

呉市本通にある冷麺料理店「珍来軒」で呉冷麺とちまき、チャーシュー肉まんを食べる。


年始、義妹と旦那さんが呉で名物料理を食べたというのを聞き、行く予定があったのでぜひ食べようと思った。


ただ思ったのはいいが、肝心の料理を失念してしまった。いったい何を食べに行くのだろうか。前日にグーグルに問うと、“呉冷麺”というワードがあがってきた。これだ。


ただグーグルマップが悪いのか、使う自分が悪いのか、横川から呉に行く電車の時刻をあらかじめ調べたところ、実際はずれていて、広島駅で寒風にさらされながら20分ちかく待つことになる。笑って過ごせばいいが、体を冷やすことにひどく怯える自分は、繰り返し恨み節がのぼってきた。


電車の中で冷えた体は半分ほど戻ったが、呉に着いて目当ての冷麺屋に行くと、開店10分前だ。グーグルストリートビューの示すは、店先に座って待つ人々で、並ぶ可能性があるかもしれないと座って待つことにした。また体が冷える。それを解消する温かい料理ならいいが、待つのは冷麺だ。


白い胴着を来た老若男女が店の前を走って通過する。からてか。100名はいただろうか、笑顔の多い姿に心は緩む、体はこわばっているけれど。


先頭で待つ自分のあとには20人近く並んでいる、待って良かった。ただ開店予定時間を4分遅れて店は開く。これさえ恨み節で、今の自分には1分を待つ冷えさえ命取りに思われる。


店内に入って食券を買い、渡すと、まず白濁の小さなスープが運ばれてきて、冷えた体に鶏のだしらしい旨味がこのうえなく染み込む。冷麺は平麺の口あたりがよく、コシもあり、麺の味もおいしい。たれはだしのうえに甘みがふくらみ、酸味の中に見えない辛みも加わってすっきりしながらも薄っぺらでない。麺とだしの相性がよく、絡まりも密接で、人気店になるだけはある。チャーシューも冷えているので脂は固まり、臭味のない甘さが口に溶け、鮮やかな肉の味も爽やかだ。


土日限定の定食のちまきが見た目通りのおいしさで、もち米と角煮に醤油の甘辛さの手の握り合いは、熱と糖分の両方で体を温めてくれる。そして熱さを求めて頼んだチャーシュー肉まんは、正直期待はずれだった。包子の質に好みが分かれるにしても、コンビニのように柔らかくふわっとしていながら、小さく、中の具もほんの少しで存在が弱く、これでこの値段かと残念に思った。それは最近食べた羊肉まんの圧倒的な強さとの比較だろう。大陸の料理を日本に比べるのが、そもそも間違いかもしれない。


それでも、求めて来たかいのあるおいしい冷麺とちまきだった。より冷えると思った体は、全部飲み干しただしのささやかな辛みが口に広がり、思ったよりも温まっていた。

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