12月30日(月) 文京区大塚にあるシク教寺院「グル・ナーナク・ダルバール・東京」を訪れる。

文京区大塚にあるシク教寺院「グル・ナーナク・ダルバール・東京」を訪れる。


今日は昔の旅行らしく、妻の付き人として気の抜けたままいられる。何も調べず、働かず、ただただついていくだけ。カレーで満足してから近くにあるシク教寺院へ向かう。


マンションの地下の一室にあり、寺院という名前からするとそれらしい風格を備えた建築を想像するものの、何で見知ったか忘れたが、アパートの一室を宗教施設として使用する例を知っていたので、その一例を見るようだった。そもそも、自分が幼稚園児だったか小学校低学年だったか、近所のキリスト教施設に行ったおぼろげな記憶があり、そこは一般家庭の一室だったような気がする。


シク教はほとんど知らず、その風貌はインド人の典型的な姿と勘違いさせる目立ったもので、長い髪が巻かれているであろうがっちり巻かれたターバンに長い髭を持ち、アンソニー・ミンゲラ監督の「イングリッシュ・ペイシェント」に登場するインド人兵士が思い出される。また海外の空港で、スーツ姿にターバンという気品のある姿も散見される。


寺院はグルドワラと書かれていて、ここはグル・ナーナク・ダルバールという名を持っている。


初めての経験なのでどのように動いてよいのかわからないが、入り口に書いてあった説明通り、靴と靴下を脱ぎ、施設内にあるバンダナを借りて巻いたが、迎えてくれた人に気を取られて手を洗い忘れる。


シク教徒そのものの身なりをした1人の男性が楽器のタブラーを前にいて、少し話をした。


シク教には10人の導師、または聖者を意味するグルがいて、この寺院ではその中の1番目のグル・ナーナクというこの宗教の開祖の名が取られている。聖地はインドのパンジャブ州にあるアムリツァルで、パキスタンへ行く途中にその街に寄ったが、残念なことに黄金寺院と呼ばれるハリマンディル・サーヒブという総本山は見ていなかった。


この寺院には日本人も来るらしく、さすがに長い髪にターバンを巻くことはないが、バンダナを巻いて行事に参加しているらしい。


妻がどうしてここに来ようとしたのか、疑問に思ってすぐに思い出したのは、無料のベジタリアン料理であるランガルに興味を抱いてのことだった。毎週日曜日の礼拝であった昨日はそれが振る舞われ、元旦にもあるらしいが、この日はなかった。それは事前に確認していた通りだ。


そういえば、イランだったか、見知らぬ中年男性にガイドすると声をかけられ、怪しみながらついていき、途中何かの行事があり、無料でスープを配っていた。この見知らぬ男はもの凄い人混みに飛び込み、鬼の形相のままもみくちゃにされて、スープの飛び散った手で椀を持ってきた。その豆から作られたような滋養のあるスープがランガルかはわからないが、おそらくそのような物が世界中のグルドワラで毎週日曜日に振る舞われているのかもしれない。


単なる一見さんにも静かに話をしてくれた男性に感謝して出る。こういった経験が、のちのちに知識を吸い寄せて、積み上げてくれるだろう。

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