前のエピソード――１２月３０日（月）帰省する。

文京区大塚にあるインド料理店「本格薬膳インド料理パナス茗荷谷店」でランチスペシャルセットAを食べる。

まるでツアーに参加するようにただついて行くだけの帰省の一日目は、羽田に着き、電車を乗り換えて、まずは茗荷谷にあるシク教寺院に向かう。駅に到着したらちょうど１２時になったので、先に昼食をとることとなり、前々から決まっていたインド料理店に寄る。

いつからそう決めたわけではないが、初めてのピザ屋ならマルガリータを頼むように、豆のカレーを注文する。それに本日のかぶカレーと、サラダ、タンドリーチキン、ナン、カルダモンライスのセットにする。

入店して最初に気づくのが遠慮ない香の匂いで、次にインドのポピュラーミュジックだ。これらはインドらしさを生み出す要素で、あるとないとでは雰囲気はずいぶんと異なる。それにそっけないわけではないが、日本人の基準から見るとそのように思えてしまうやけに冷静な接客も実に良い具合にある。

肝心の料理は良心的な価格設定と思えるおいしさで、ドレッシングに一手間かけたサラダ、豆カレーの分厚い味、かぶの甘みがしみたクリーミー、余計な甘さを控えた生地の味がしっかりするナン、カルダモンの薫り高くついたライス、そしてたっぷりスパイスのついた手羽元のタンドリーチキンだ。食後のホットチャイもスパイスでじっくり煮出されていて、シュガースティック２本で釣り合う濃い味だ。

常連客も店員と安っぽくない距離があり、価格は手頃で美味しいという、通いたくなる味と量を持ったとても良い店だった。