11月30日(土) 広島市南区的場町にある焼肉屋「焼肉バル OMOTENASHI」で焼き肉を食べる。

広島市南区的場町にある焼肉屋「炙り亭 焼肉」で焼き肉を食べる。


現代美術館の帰り、東区民文化センターで劇を観るまでに時間があったので妻の店に寄ると、仕込み中らしいが、腹は空いているというので、ケーキの焼き始めを待って店を出る。


お互い時間に追われており、とにかく遠くへ行きたくないということで、歩いて30秒もかからない焼肉屋に連れて行く。ビビンバとカルビくらいでささっと済ませられると思ってだ。


南大門で一人焼肉を食べて以来だが、そもそもこうして焼肉を食べに行く機会がほとんどなく、2人でこうして肉を食うのは柴又に住んでいた時に行った牛角以来で、いったい何なのだろうか。


それほど食べる気がなくてもメニューを前にすれば食欲の暴走するのが人情というもので、名前さえ覚え忘れた牛肉に、せせり、サラダ、ビビンバ、レバー、テッチャンと注文していく。


一人で食べる時は合理的なので、一度に二枚くらいしか焼かずにのんびり食べる性分だが、相手は皿のすべてを網に載せる気配なので、そのことを口にすると、とうぜんぶつかり合い、皿には中途半端にせせり一片が残る。自分はそれを網に載せる。これが性格の違いだ。


鍋奉行がいるように網奉行もいるのだろう、こうして何か作業しながら食べるのは、女性たちが手仕事しながら口を動かしてしまうように、動作が口も軽くするのだろう、などと自分が言うも、お互いの口は食べるばかりに向かっていて、倦怠期を遥かに越えた達観した老夫婦のそっぽがあるようだった。まるで無口が天国にのぼってしまったように火と煙を見ていた。


牛丼を食べきるような速さで夕食は終わり、20分ほどで会計に入るが、その金額に違和感を感じる。ああ、焼肉屋に来ない理由はここに1つあるのかもしれない。ケチだから。


尺の長さに代価は関係するのだと自分の基本を考える。ゆったりした時間でこの値段なら納得できるが、ファストフードのように腹に入れてしまっては、まるで距離の短い高速道路だ。


でも美味しい肉を食べられたから、これはこれで良かったのだろう。

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