9月14日(金) 広島市中区大手町にある四川麻婆豆腐屋「辣婆 中区役所前店」で四川麻婆丼を頼む。

広島市中区大手町にある四川麻婆豆腐屋「辣婆 中区役所前店」で四川麻婆丼を頼む。


東区民文化センターからの帰り、チョコレート味のバクラヴァとコーヒーを口にしてアステールプラザへ向かうも、どうも腹が空いてしまった。まるで前菜に手をつけてしまったように、胃の中が空っぽになってしまったのを感じる。


時間をかけてたくさん食べたいわけではなく、かといって少しでは物足りないだろうから、何にしようか迷いながら自転車をこいで、小道へ入ったりしていた。3時過ぎで、掛札を見ずに入った汁なし担々麺屋は閉まっていた。牛丼を食べたいわけではない。サンドイッチやケバブサンドがあればちょうど良いのに。


たまたま麻婆豆腐専門店を見つけた。こんな店があるのか。一気に食欲がわき、早く食事が出てきそうな雰囲気の店構えだ。入ることにする。


最近は体が重くてどうしようもない。いまさら夏バテかと、暑さに強い体質だと自負しておきながら、へばっている体に情けなくなる。とはいえ実際の原因は暑さにないことを知っており、食べすぎ飲みすぎ、ただそれだけなのだ。


風邪ではないから、辛いもので元気が出るとは思わず、むしろ胃に優しくない香辛料でより悪化するだろうと考えながら、誰も客のいないカウンター席で待っていると、思ったよりも時間がかかる。牛丼と同じくらいのスピードで出てくるのかと考えていた。


やってきた麻婆丼は、熱々と湯気を出して山椒の香りを放っている。これは少し量が多いかもしれない、そう思いつつ口にすると、生きた味を感じる。作り置きではない、たった今料理されたばかりのぴちぴちした風味があり、豆鼓の旨味が押し込むように伝わってくる。壁には豆板醤のコクについて書かれているが、たしかにしっかりした重量がある。これは汁なし担々麺のやや薄っぺらい味の濃さと異なり、油によって引き出された鮮度がある。辛さは低く、むしろ胃に優しい、元気の出る食事となり、スムーズに腹へおさまった。


汁なし担々麺と麻婆丼のどちらかを選ぶとなれば、シチュエーションにもよるが、麻婆丼のほうが好みだろう。少し待つが、米との相性が良く、よりシンプルに調和していて、食べた気になる。


ティッシュペーパーで顔面の汗を拭きつつ店を出て、後頭部の発汗を風にさらして自転車をこぐ。辛いものを食べたあとの汗はすっきりしていて気持ち良い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る